石崎ひゅーい、新曲で歌うのは"次に進むためのバッドエンド"

ー石崎さんといえば、これまでもタイアップ曲を多く手掛けていますが、主題歌を作るときは既に完成した作品を観て曲を書きおろすわけですか?

石崎:今回の場合は、途中でオフラインの映像を送ってもらいました。映画版じゃなくて、映画の公開が終わった後にABEMAで配信されるドラマのバージョンを先にいただいて、台本もいただいて書いたんです。

ー台本も読むんですね。

石崎:そうですね、台本を一番最初にいただきました。

ーどのように曲を作っていったのでしょうか。

石崎:まず、現場に行って、森山未來さんや監督と初めてご挨拶させてもらいました。その時に監督が、「普段は日の目を浴びないようなどうしようもない主人公が、最後のリングの上でだけ光を浴びるような作品を作りたいんだ」という話をされていたのが印象的で、すごく明確でわかりやすいメッセージだなと思ったんです。監督のその言葉のおかげで「なんとなくこんな歌だな」というのは頭の中に生まれてはいました。あとは、映画だけに寄り添ったものではなく、自分の作品として、完成させるために僕の視点はどこから入れようかな、という作り方をしました。



ー主要キャストの、森山未來さん、北村匠海さん、勝地涼さんのうち誰の視点に立って、ということではなく?

石崎:それは、誰の視点でもないようにしようと思って。一番意識したのは、僕は「僕」っていう一人称を使う歌が多いタイプなんですけど、今回は「僕ら」の歌にしようというのは最初からあったんです。映画自体が、森山さんを軸に三者三様の戦いみたいなものを描いていたので。それに、この曲を作って詰めているときが、ちょうど自粛期間中だったんですよ。その頃、音楽をやっている友だちとか地元のお店をやっている友だちとか、みんなすごく良くない状況でギリギリで戦っているようなやつらばっかりで、そういうのを心配しあってZOOMで「大丈夫か?」とか言いあってたんです。みんな、同じような不安みたいなものを抱えながら生活しているタイミングでもあったので、そういうことも含めて自分の歌というよりは、「自分たちの歌」にすることで、少しでも一緒に並走できるような曲にしたいなと思っていました。

Rolling Stone Japan 編集部

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