重症心身障害児の親たちがコロナ禍で抱えるジレンマ

2020年9月8日、オハイオ州シュガークリークの自宅の庭でベラ・ヨンダーちゃんと両親 (Photo by Maddie McGarvey for Rolling Stone)



対面式サマースクールでの事例

だがヨンダーさんいわく、実際のところベラちゃんは複雑な医学的問題ゆえにつねに危険にさらされている。児童神経学財団のCEOを務めるブリン氏の推測では、医学的問題を抱える子供の約75%が今年何らかの形でリモート学習を経験したが、ヨンダーさんのように「感染の危険を負うのはいたしかたない」とする親もいる。「対面サービスの欠如が原因で子供の学習が遅れるのは黙っていられないんです」

いま子供を学校に通わせるか否かという決定はある意味、たとえ再開が可能だとしても、重症心身障害児・超重症児者を抱える子供の親にしてみればおなじみの無理難題の延長でしかない。パンデミック中にそうした決断を下すことは「特別支援学級の子供をもつ母親の最大の悩みです。はっきりした情報がなく、かたやこうしろと言い、かたやああしろと言うんですから」とブフナーさん。「いずれにしても危険はついて回るし、相手は一筋縄ではいかない子供。お手上げですよ」

ロングアイランド州セタウケットに住むステファニー・マクドウェルさんの息子テディくんは、数々の疾患や発達障害を抱えている。この夏、母親は全日制のサマースクールに息子を通わせた。息子は家では集中することができないため、リモート学習は完全に失敗だったという。「基本的に3月から7月まで、息子は公的教育や公的サービスは一切受けていません」とマクドウェルさん。対面式サマースクールが選択肢にあがった時、マクドウェルさんはチャンスとばかりに飛びついた。授業は短縮されたものの、テディくんは毎日学校に通った。安全面も十分配慮されていると感じた。特別に免除された場合を除き、子供もスタッフも全員マスクを着用。校内から感染者は1人も出なかったという。

だがマクダウェルさんにとって、テディくんが自宅では勉強できないこと以外にも様々な決定要因があった。テディくんが今いるクラスは生徒12人、教師1人、助手1人の少人数制。送迎スクールバスも小型だ。テディくんはマスクの着用も嫌がらない。そのうえ一家が暮らすロングアイランド州は、今のところ感染者が少ない。もし状況が違っていたら「私の考えも違っていたでしょう」とマクダウェルさんは言う。

Translated by Akiko Kato

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