重症心身障害児の親たちがコロナ禍で抱えるジレンマ

2020年9月8日、オハイオ州シュガークリークの自宅の庭でベラ・ヨンダーちゃんと両親 (Photo by Maddie McGarvey for Rolling Stone)



目立つ学習の遅れ

完全リモートでサービスを継続する学校の生徒でさえ、ニーズを満たすのに苦労している。ロサンゼルスに住むアリソン・ブフナーさんの娘サミーちゃんは共同チャータースクールの6年生に進級したばかり。ここでは特定の障害をもつ児童と定型発達児童が同じ教室で勉強している。サミーちゃんは脳性まひのような症状を引き起こすCACNAA1Aという遺伝子障害を患い、多大なサポートを受けながら教室で勉強している。ブフナーさん曰く、他とは違ってこの学校は「すべての子供に教育を」という哲学をリモート学習にも適用しているが、マンツーマンのサポートなど一部の支援はリモートでは置き換えられないという。

「マンツーマンの介助者や作業セラピスト、物理療法士、スピーチセラピストの助けを借りながら普通の学校の教室でなんとか頑張っている子供に対し、『はいコンピュータよ、これで勉強してね』とは言えません」とブフナーさん。サミーちゃんのニーズに配慮するために、自腹でホームアシスタントを雇わなくてはならなかったそうだ。「娘の場合、同席者がいればいいというわけではありません。6フィート以内にいてもらわないと困るんです」と母親は言う。「1日中そばで世話をしなくてはいけないような場合、ソーシャルディスタンスなんて関係ありません」。それでもやはり、物理療法などふだん学校で受けていたセラピーは受けられない。セラピストの集中対面サポートがない状態で、かつ教育のニーズをすべて満たしながら自宅で学習するは至難の業だ。

IEPで一部のセラピーサービスが受けられないことに加え、ブフナーさんは他の親同様、友だちと離れ離れになったことによる社会的影響を心配している。「1人の子供としてみたとき、娘にとっては社会的・教育的発達の損失が非常に大きいです。友だちとの交流がないために、昼間お手本になるような仲間がいなくなってしまいました」

サービスの中断で、これまで何カ月、あるいは何年も努力して達成した貴重な成長目安や技能を失うケースも多く、子供の学習の遅れが著しいという親も多い。「適切なサービスを受けていれば、娘が他の子と違うとか、特殊支援が必要だとかいうことを忘れることもたまにあります」。 5年生の娘ラヤちゃんの母、ブランディス・グッドマンさんはこう語る。ラヤちゃんは胃食道逆流症(GERD)および重度のアレルギーのため、外科手術で管を挿入し、そこから食事を摂取している。また感覚処理障害と注意欠陥多動症障害(ADHD)も抱えている。「一度娘に会えば、きっと問題を抱えているとは思わないでしょう。とても社交的で、活発で、陽気な子なんです」

だがパンデミック後、ラヤちゃんは自分の欲求を伝えるのが難しくなっている。最近も水泳のクラスを始めるにあたり、緊張のあまり最初の3日間はプールの外で泣きどおしだった。ラヤちゃんがうまく行っていたことが、必要なサポートを受けられていた何よりの証拠だったことがようやくわかった、とグッドマンさんは言う。「こうした対処が効果的だということに気づけたのは素晴らしいと思います。ただ、サービスが中断したときにしか効力に気付けないのは残念です」

Translated by Akiko Kato

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