ASKAが語る歌詞へのこだわり 過去・現在・未来がリンクする詩的な世界

「幸せになろうと願いを込めて風船を上げる光景はロマンチックだなと思ったんです」

―「幸せの黄色い風船」のモチーフは?

これは歌いながら出てきてね。サビでした。“幸せの黄色い〜”と。そこから『幸せの黄色いハンカチ』が浮かびました。当然ですよね。名作ですから。「幸せの」から始まり「黄色い」が出てきたら、あぁもうこれはオマージュで行こうと。『幸せの黄色いハンカチ』は「トニー・オーランド」の楽曲「幸せの黄色いリボン」を元に山田洋次監督が作品にしたと聞いてました。幸せの黄色い何とかっていう作品はたくさんあるんです。そのなかで、自分は「風船」にした。この曲では、空がキーワードになっています。な“幸せの黄色い風船 みんなで持ってさ一斉のせいで空に向かって 解き放ち合いたい 青い空を 世界が見上げて 同じ色に変われ 願いで埋めてしまえ”と歌いました。世界中が示しあわせて、幸せになろうと願いを込めて風船を上げる光景はロマンチックだなと思ったんです。

―想像するとすごく素敵な光景ですよね。ちなみに歌詞に“時計の針が2436”と出てきますが、この時間は?

僕は2月24日生まれなんです。それと昔からファンクラブの会報で公言してたんだけど、僕のラッキナンバーが16、36、52、56で、なかでも一番よく出くわすのが36なんです。子どもの頃は出席番号だったり、大人になってからも飛行機に乗ると座席番号が36だったりすること多くて。2436っていうのは、自分のラッキーナンバーと誕生日ですが、詞を書いてる時にフッと時計見たら、0時36分だったんですよ。考えてみたら、これって24時36分じゃん、と。2436じゃんって。その時はそれで終わったんだけど、翌日また詞を書いていた時に、フッと時計見たらまた0時36分だったんです。これは呼ばれてるなと思ってそのまま詞に書きました。モチーフになった『幸せの黄色いハンカチ』も含めて、ポジティブなものが重なっている感じですね。

―なるほど。一方で“考えもしない 思いもよらないって人は言いつづけてきた”と歌う9月18日配信の「自分じゃないか」は曲調とは裏腹にかなりパンチのある歌詞が印象的です。

コロナにしても、みんな「突然」とか「思ってもみなかった」って言うけど、その予兆は誰もが毎回感じていたのではないか?ということです。物事が突然起こるなんてことはゼロではないけれど、大体のことは予想の範疇にあって、それが現れた時に「突然」って言っているだけの話ですよね。



―確かに。歌詞にある“いつも いつも 気づいていたはずなんだ”は、人類に対する問いかけなんですか?

そうですね。全て繰り返してきていますからね。台風にしたって、毎年毎年「観測史上初」とか言っていますけど、それって何年言い続けてるの?という話ですから。

―コロナ禍で“気づいてたはずなんだろ?”っていうのをあえて歌おうと思ったのは?

僕がこの歌で一番言いたかったのは、こういうことです。もし運命というものがあるとするならばそれに操られて生きているのかもしれないけど、それを回避するために例えば占いがあったりするわけです。その運命と、回避しようという行動のお互いが通じ合って、物事が進んでいくんだと思うんです。僕らがヘマをしてしまうというのは、自分の中にあった想像や、占いなどから啓示みたいなものをもらっていたのに、うまくいってなかったよなっていうことだと思うんです。それだけのことなんです。あとは、よく自分は失敗をしてしまったって思う人って、失敗した記憶の方が絶対多いはずだから。結局人間ってそうなんだよねと思いながら、それでもいいんじゃないか? それも自分じゃないかってことですよね。

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