日本のアングラから世界へ アジアンアーティストが世界で活躍する方法とは?

ーアーティストがインディペンデントな活動をしているという点で、海外のオーバーグラウンドシーンはアンダーグラウンドシーンと通ずるものがあるのかもしれませんね。日本でもアンダーグラウンドで活動するアーティストは、自ら全てを行う人ばかりですから。

DANTZ:そうですね。ただ、アンダーグラウンドとオーバーグラウンドではマネタイズの仕方が大きく違います。あくまでも僕の経験上ですが、アンダーグラウンドでは、出演料が主な収入源で音楽自体はプロモーションツールのようなものでした。フリーダウンロードで作品を配ったりして自分の名前を広め、お金は出演料で賄うことが基本。その分、欧米ではDJの出演料に関してものすごくしっかりしていますけどね。アーティストに対してしっかり対価を払うことが当たり前になっています。一方で、今Kirkと一緒にオーバーグラウンドシーンで活動してみて感じるのは、印税のことをしっかり考えながらビジネスを作る人が多いことです。だから作品の価値にすごく重きを置いています。

ー印税を意識すると、「売れるものでないと音楽的にダメだ」という風潮も生まれるのではないでしょうか?トレンドを意識した作品でないとダメであったり、アーティストが自分の意思で動きづらい部分もあったりしませんか?

Kirk:アメリカでは大きいレーベルに入らない人が増えているんですよ。アーティスト仲間とよく「音楽は発明品だ」と話すのですが、その発明品をビジネスマンに弄くり回されるよりも、個々のセンスで作品を作って売るために、自分たちでレーベルを立ち上げる人が多いんです。

ー少し前に、メンバー全員副業で携わるバンドであるtoeを取り上げたnoteがバズり、「音楽で飯を食わなくてもいい」という意見がネット上で散見されました。お金を稼ぐために音楽をやるのではなく、好きな音楽をやることに重きを置く方が健全なのではないかという意見もあります。お二人は、音楽をビジネスにすることについてどのように考えていらっしゃいますか?

DANTZ:個人的には稼ぐことも大事だし、稼がなくてもいいと思います。ただ、お金を稼がないと続けられないし、副業で音楽を十分にやるためには本業で十分に稼いでないと難しい。時間の余裕も必要です。だから好きな音楽をずっとやっていくためには、音楽で稼ぐことは重要なのではないかと思っています。それに、好きな音楽をやって、それがビジネスになることが証明されれば、それに憧れる人も増えますから。音楽業界の裾野も広がりますし、業界全体の可能性が広がると思いますね。

Kirk:趣味でやるかビジネスにするかはその人次第だと思うのですが、ビジネスを選んだ以上は信じてやっていくしかないと思っています。自分の人生の賭けですよね。

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