1960年代のエルヴィスは、どう映画の世界から音楽に回帰していったのか




オリジナルは1960年代のアルバムだったんですが、「Such A Night」は1964年にシングルにもなっているんです。エルヴィスの1960年代以降のシングル曲を見ていると、かなり古いものが改めてシングルとして発売されたりしていますね。これはオリジナルが少なかったせいなのかなと思ったりもするんですけども、オリジナル・アルバムは本当に少ないんですね。1960年に『エルヴィス・イズ・バック!』、1961年に『歌の贈り物』、1962年『ポット・ラック』。ここまでは年に1枚ちゃんとオリジナル・アルバムを作っているんです。この後、1965年の『メンフィス・テネシー』までオリジナル・アルバムはないんですよ。1963年は映画のサントラ『ヤング・ヤング・パレード』、『アカプルコの海』が出て、もう一枚『ゴールデン・レコード』というシングル盤を集めたシリーズがあるんですけど、それの第3集です。1963年は3枚もアルバムが出ているんですが、映画のサントラ2枚とベスト盤が1枚なんですよ。1964年もサントラアルバム『キッスン・カズン』と『青春カーニバル』が出ているんです。映画はもう1本出ていまして、『ラスベガス万才』という作品があったんです。これは曲目がフルアルバムまで無くて、シングル1枚2曲入りとコンパクトEP4曲入りが出ているだけ。つまりスタジオ盤がない。そういう1963年と1964年。その時期にビートルズが出てくるわけですよ。僕らが高校の時も、ホームルームで”エルヴィスとビートルズ”という討論会が行われましたからね(笑)。これは後ほどまたお話しましょう。エルヴィスの映画にも刺激的な曲はあったんですよ。次にお聴きいただくのは、1963年の映画『アカプルコの海』の「Bossa Nova Baby」、そして1964年の『ラスベガス万才』のタイトル曲「Viva Las Vegas」です。




「Bossa Nova Baby」はシングルチャート8位になったんですね。『アカプルコの海』の中の曲でした。歌ってるシーンがかっこよかった。ボサノバという音楽は、当時なんとなく「イパネマの娘」とかそういう音楽として知っていたんですが、ボサノバとは思えないこのリズム。これをツイストを踊りながら歌うんですね。このシーンは見惚れました。「Viva Las Vegas」は映画のタイトルチューンですね。この映画は女優アン・マーグレットと共演したんですが、彼女がエルヴィスと張り合って「C’mon Everybody」という曲でダンスを共演するんです。これが観たくて映画館に足を運んだという作品でした。

Rolling Stone Japan 編集部

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE