1960年代のエルヴィスは、どう映画の世界から音楽に回帰していったのか



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1968年12月に発売になったアルバム『Elvis Tv Special』から、「Heartbreak Hotel」と「Jailhouse Rock」。帰ってきたエルヴィス、という感じがしませんでしょうか? このテレビスペシャルは視聴率が70.2%もあった。そしてこのアルバムは、チャートに32週間もランクインしていたんですね。最高位は8位でした。1966年~1968年の3年間で、エルヴィスのアルバムでTOP10入りしたのはこのアルバムだけです。ここから、映画から音楽へと軌道修正していくんです。このテレビスペシャルはよく覚えています。1968年、僕は大学に行っていてフラフラしておりまして。テレビでこの番組をやるんだというのを知ったんですけども観る場所がなくて、歌舞伎町の餃子屋で見た記憶がありますね。なんで餃子屋にいたんだろう(笑)? 餃子屋のおじさんに、TV点けてくれないかな! と言って、ビールを飲みながら観た記憶がありますね。時代はGS、学生運動、そしてヒッピーですよ。この番組はアメリカで視聴率70.2%でしたが、日本ではどうだったか? エルヴィスの研究家とも言える萩原健太さんが、本番組で来週特集する1970年代編の『The Essential ’70s Masters』というボックスセットのライナーをお書きになっていらっしゃいます。当時は知らなかったことを、彼の書いたもので知るということがたくさんあります。そのライナーの中で、この『Elvis Tv Special』は日本では視聴率が8%だったと書いておりました。そういう時代ですよ。エルヴィスはそんな風にしか見られてなかった。よく8%も取れたなって思った方がいいかもしれませんね。時代はGSからヒッピーへと変わっておりました。その中でエルヴィスは帰ってきました。『Elvis Tv Special』の最後の曲をお聴きいただきます。「If I Can Dream(邦題:明日への願い)」



皆こういう曲を聴きたかったんでしょうし、彼もこういう曲を歌いたかったんだろうなと思います。この曲のチャートはシングル11位で、3年間で最高だったんです。これが復活の狼煙でした。1968年12月発売のアルバム『Elvis Tv Special』から、「If I Can Dream(邦題:明日への願い)」でした。

Rolling Stone Japan 編集部

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