伊東歌詞太郎が追求する「夢の正しい叶え方」

ーいじめられたことを乗り越えられたから、辛くなかったと。以前は小説も執筆されていましたが、エッセイとどちらが書きやすかったですか?

歌詞太郎:小説とエッセイって、結局は文字なんですよ。文字っていう以上、同じ一文字を書く手間っていう意味ではどちらも変わらないんですね。見えている目標に向かってただただ書いていくだけなので、かかる時間とか効率も全然変わらない。音楽は自分がずっとやってきたことなので、ワープするように一気に作れるんですけど、文字はひたすら書き続けるマラソンみたいな地道な作業という感じですよね。

ーエッセイや小説の文字で表現したいことと音楽で表現したいことって、リンクする部分は多いんでしょうか?

歌詞太郎:アートの表現に共通するものって一緒なのかなと思います。エッセイでも書いたんですけど、初めて朗読劇をやった時の打ち上げで、演出家の方から、僕に初心者向けアドバイスをしていたことについて謝られたんですよ。演技の真髄を感じたって言われて。僕としても手応えはあってすんなりやれた。なんで僕はすんなりできたんだろう? って考えた時に、自分は音楽をやっていたからなのかなと思って。音楽は音での表現、演技は自分の表情とか声、身振りで台本上の描きたいことを表現することだから、そこは一緒なんだって気付いて。きっと小説も一緒なんだろうなって思いながら書き始めたんですが、やっぱりプロセスは一緒だと思いました。でも、絵の才能は全くないんですけどね。絵だけは皆に不快な思いを与えると思います(笑)。

ー最後になりますが、エッセイでは、夢は叶ったと思っていないと書かれていました。歌詞太郎さんは、今の段階では夢とか目標ってあるんですか?

歌詞太郎:僕は夢ってたくさんあるものだと思って、今のところ叶った夢もあるし叶えてない夢もある。そういう感覚だから夢が叶ったと言えないんですよ。例えば、死ぬまで歌を全力で歌える身体でいたい。死ぬまで歌っていたらすごく音楽好きになれるし、その時に音楽をやった気持ちも知りたいというのも夢です。分かりやすい夢で言うと、日本武道館を埋めたいし、アメリカのアポロシアターとかでもやってみたいし、グラミー賞も獲ってみたいです。最近は、夢の叶え方も大事だなと思っていて。色々な経験をして分かったんですけど、夢が叶ったはずなのに嬉しくない時もあって。それは自分の中で正しいと思わない方法とか実感のない叶え方をすると、その瞬間が美しくないと思うんです。そういうとこにも気をつけて夢を叶えていきたいし、まだまだ叶えたいと思う夢はいっぱいあります。

ー今も色々な表現活動に挑戦されていらっしゃいますし、もっと夢が生まれていくんでしょうね。

歌詞太郎:本当に欲深い人間なんですよ。善い欲と悪い欲があると思っていて。善の欲については、僕はかなり欲深い人間じゃないかと思います(笑)。好きなことを愛していきたいとか、そういう欲求は結構強いと思っていますね。



<リリース情報>



伊東歌詞太郎
『記憶の箱舟』 

発売日:2020年7月29日(水)
価格:1200円(税抜)

=収録曲=
1.記憶の箱舟 (TVアニメ『デカダンス』EDテーマ) 
2.僕たちに似合う世界(エッセイ「僕たちに似合う世界」イメージソング)
3.TOKYO-STATION
4.記憶の箱舟 (instrumental)



伊東歌詞太郎

新刊エッセイ『僕たちに似合う世界』 

発売日:2020年7月22日(水)
価格:1200円(税抜) 

Official HP:http://www.kashitaro.com

Rolling Stone Japan 編集部

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