伊東歌詞太郎が追求する「夢の正しい叶え方」

ー歌詞太郎さんは去年、中国でもコンサートをされるなど、規模がどんどん大きくなってきていると思います。その中で、ご自身で変わってきた部分や、逆に一貫している部分ってありますか?

歌詞太郎:僕はバンド出身なんですけど、今と変わらないくらい人生かけてやっても、結果が出ないこともあるって知っているんです。その中で、自分の中で人格と音楽を切り離して考えるようになっちゃって。お客さんが来るっていうことは、自分という人間に興味がなくても音楽を好きでいてくれる人たちなんだって意識が結構あるんです。昔だったら「歌詞太郎さん好きです」って言われたら、「"僕が好き"じゃなくて"僕の音楽が好き"じゃない?」くらいの過激さはあったんですよ(笑)。でも、今では「歌詞太郎さん好きです」って言われたら、素直に「ありがとうございます」って思えるようになりましたね。僕の音楽を好きでいてくれることがもう嬉しいんです。

ー自分というキャラクターを知ってほしいという気持ちはなかったんですか?

歌詞太郎:今思い返すとそういう気持ちはなかったと思います。必死にバンドをやっていた時も、別にモテたいとか自分をよく見せるために音楽をやっていないんですよね。昔は毎日川崎駅前で路上ライブをやっていたんですけど、足を止めてくれない人の方が圧倒的に多い。でも、今は伊東歌詞太郎として路上ライブやりますってアナウンスすると、最初からたくさんお客さんがいる状況があって毎回すごく驚くし感動してしまう。嬉しいんですよ。「歌詞太郎さんが好きです」っていうのは、作品を通して自分の人格とか人生も好きでいてくれるのかな? ということを理解し、受け止められるようになってきたのかなって思いますね。



ー歌詞太郎さんは、ご自身が普段感じていることを音として作品で表現されていると思うんですけど、ライブのMCやSNSなど言葉で伝えたいものやそれに気をつけている部分はあるんでしょうか? 

歌詞太郎:初めてのワンマンライブはMCなしでやったんですよ。自分の言葉には価値がなくて、音楽が好きでチケットを買ってきてくれたんだから、一曲でも多くの曲をやるべきだって思ってたんです。そういう意識がある中で、何かを人に発信したいっていう時には、せめて誇張とか見栄は排除したいんですよね。それは自分の中では嘘じゃないですか。そういう嘘を排除した言葉を使いたいっていう事に気を使っていますけど、それよりも自分の好きな音楽をやるのが大事なのかなっていう気がします。

Rolling Stone Japan 編集部

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