ローリングストーン誌が選ぶ「アニメーション映画」ベスト40

Everett Collection (4)


36位『ファンタスティック・プラネット』(1973)

華やかでありながらも目を背けたくなるほど暴力的。フランスのアニメーター、ルネ・ラルー監督の『ファンタスティック・プラネット』が放つサイケデリックな寓意は、博学なミュージシャン・音楽プロデューサーのフライング・ロータスから著名なヒップホッププロデューサーのマッドリブにいたるまで、あらゆる人に霊感を与えた。不気味なアートワークと切り絵を連想させる独特なアニメーションスタイルは、いまも好奇心いっぱいの観客の度肝を抜く。ピアニストのアラン・ゴラゲールが手がけた薄気味悪いスコアは、映画のサントラではあまり耳にすることがないような不思議な雰囲気を醸し出している。同作で描かれるのは、“ドラーグ族”という青い肌の巨大エイリアンが人間をペットにして無慈悲にこき使う世界だ。メッセージ性はかなり強い。今回ランクインを果たした唯一の理由は、同作の冒険的な美的感覚にある。CB

35位『ニムの秘密』(1982)

1970年代末期、クリエイティビティを失い始めたディズニーに幻滅したドン・ブルースはディズニーを退社する。その後、農家のトラクターに壊されないようにと引っ越しを余儀なくされる母ネズミとその家族をめぐるファンタジー・アドベンチャー作品『ニムの秘密』で監督デビューを果たした。冒険の途中、母ネズミは、亡き夫——政府が秘密裏に行っていたネズミを使った実験に関わっていた——の死の真相を知る。ロバート・C・オブライエンの原作を題材とした同作は、動物実験の恐ろしさを浮き彫りにすると同時に勇敢で賢い母ネズミの手に汗握る冒険を描いている。過小評価されてはいるものの、80年代の多感な子供たちの試金石となった作品だ。TG

34位『カールじいさんの空飛ぶ家』(2009)

“Tearjerker(お涙頂戴もの)”という単語を辞書で調べてみてほしい。ピクサーの『カールじいさんの空飛ぶ家』の4分強ほどの印象的な導入部分は、まさにその言葉の通りだ。少年と孤独な老人の思いがけない友情物語は、いくつになっても冒険に出られるという同作の主人公にぴったりの魔法のようなリアリズムを見せてくれる(無数の風船が結びつけられた家、しゃべる犬、古き良きツェッペリン・ファイトなどの楽しい要素も満載)。同作は、アカデミー賞作品賞にノミネートされただけでなく、あのカンヌ国際映画祭のオープニングを飾る初のアニメーション作品という栄誉まで授かった。カラフルなアニメーションと意外にも観客の心に響く深い感動を踏まえると、当然の評価だ。AW

33位『ハウルの動く城』(2004)

日本アニメーション界の巨匠、宮崎駿は英国のファンタジー作家、ダイアナ・ウィン・ジョーンズの原作から着想を得た反戦映画『ハウルの動く城』で西洋と東洋の繊細なニュアンスを巧みに融合した。同作には、皮肉屋の火の悪魔の力で動く可動式のスチームパンクスタイルの城といったスタジオジブリ作品のなかでももっとも斬新な仕掛けが登場する。その城には、見栄っ張りで威張り屋の魔法使いが暮らしているのだ。旧世界のヨーロッパを東洋のレンズを通して写すことで、視覚的にも見事なラブストーリーであるだけでなく、争いを続ける人類を激しく非難し、戦争による環境への被害を描いている。英語版の吹き替えを監修したのは、ピクサーのチーフ・クリエイティブ・オフィサーを務めるピート・ドクター。米国版は、ドクターは、ローレン・バコール、クリスチャン・ベール、エミリー・モティマー、ビリー・クリスタルといった超一流俳優を声優に起用した。JS

Text: Sam Adams & Charles Bramesco & Tim Grierson & Noel Murray & Jenna Scherer & Scott Tobias & Alissa Wilkinson / Translated by Shoko Natori

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