ローリングストーン誌が選ぶ「アニメーション映画」ベスト40

Everett Collection (4)


20位『ピノキオ』(1940)

「星に願いを」を歌うコオロギのジミニー・クリケット、主人公ピノキオを飲み込む巨大クジラのモンストロ、トラウマになるほど恐ろしくもシュールなプレジャー・アイランドでのシーン……ディズニーの初期名作『ピノキオ』には、映画史に刻まれた数々の要素がある。だが、イタリアの作家カルロ・コッローディのおとぎ話を題材としたディズニーの同作は、主に人間であることの意味を探求している。同作のなかでももっとも印象的なのは、木から人間へと変身した時のピノキオの表情だ。文句なしに想像力にあふれた美しい感動作である。CB

19位『AKIRA』(1988)

いまの状況を踏まえると、私たちは2019年が終わる頃にはディストピアが待ち受ける最悪のシナリオを歩んでいると言えるだろう。だからこそ、原作者で映画版『AKIRA』の監督を務めた大友克洋のサイバーパンクアニメーションの最高傑作は予言として私たちの心に響くのかもしれない。超能力を持つ暴走族がはびこる世界の終わりの後のような東京というショッキングで悪夢的でありながらもスタイリッシュな世界観はカルト的人気を獲得し、世界中のビジュアルアーティスト世代にインスピレーションを与えた(カニエ・ウェストも同作のファン)。日本のオタクとクールの象徴であり、徹底して考え抜かれたハイテク技術は何度も見返す価値がある。CB

18位『ウェイキング・ライフ』(2001)

米テキサス州オースティンの風変わりな若者を描いた大ブレイク作『スラッカー』から約10年後、リチャード・レンクレイター監督はロトスコープ(モデルの動きをカメラで撮影し、それをなぞってアニメーションにする手法)の名手ボブ・サビストンとタッグを組んでめくるめく哲学的内省、フランスの劇作家サミュエル・ベケットふうの描写、おどけた挿話が織りなす新たなアニメーション作品『ウェイキング・ライフ』を生み出した。制作中は既存の映像をトレースするという手法を使い、チラチラと光る映像は錯乱あるいはタイトルに暗示されている夢と現実の冒険を連想させる。学術レベルの深さとそこここに散りばめられた消化しやすいコメディを行ったり来たりする同作は、挑発的な状態へと誘ったのちに観る人を圧倒する。ST

17位『アノマリサ』(2015)

『エターナル・サンシャイン』でお馴染みの脚本家チャーリー・カウフマンは、しばしば登場人物を空想の世界に置く。そう考えると、ストップモーション作品『アノマリサ』の誕生は必然だったのかもしれない。カウフマンとデューク・ジョンソンが共同で手がけたロマンチックコメディでは、モチベーションを専門とする英国人講演家(デヴィッド・シューリス)が講演のために訪れたシンシナティでリサ(ジェニファー・ジェイソン・リー)という、一見どこにでもいそうな普通の女性と出会う。カウフマン特有の辛辣なウィットとささやかな不安には、人とのつながりだけでなく生きる意味へのリアルな渇望も含まれている。ラブストーリーであると同時に性格描写でもあり、現代人が抱える不安を浮き彫りにする同作は、お腹を抱えて大笑いしたくなるほど可笑しい。でなければ、胸が押し潰されそうなくらい悲しい作品だ。TG

Text: Sam Adams & Charles Bramesco & Tim Grierson & Noel Murray & Jenna Scherer & Scott Tobias & Alissa Wilkinson / Translated by Shoko Natori

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