ローリングストーン誌が選ぶ「アニメーション映画」ベスト40

Everett Collection (4)


8位『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』(1993)

ハロウィン・タウンの人気者“カボチャ王”ことジャック・スケリントンが嫌いな人なんているはずがない。『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』では、紳士的なジャックが自分たちが暮らす恐ろしいハロウィン・タウンにクリスマスの祝祭を取り入れようと大奮闘してドタバタ喜劇を繰り広げる。制作スタジオは子供には怖すぎると危惧していたようだが、同プロジェクトのプロデューサーで守護聖人でもあるティム・バートンは、ホラー映画というコンセプトを居場所探しのせつない物語に変える名手だ。バートンは、ヘンリー・セリック監督に手を貸すことで同作が描くストップモーションの空想の世界を恐ろしいゴシックと親しみあるキュートが融合する世界へと変身させた。キャラクターが風変わりであればあるほど目が離せなくなってしまう。AW

7位『アイアン・ジャイアント』(1999)

ブラッド・バードといえば、ピクサーの2大稼ぎ頭(『Mr.インクレディブル』と『レミーのおいしいレストラン』)の監督だが、同業者たちでさえ、バード監督にとって一番パーソナルな作品は、宇宙から来た巨大ロボットと少年の友情を描いたテッド・ヒューズの絵本を題材とするエキサイティングで感動的な『アイアン・ジャイアント』と答えるだろう。当時は興行収入的には期待外れだったものの、シンプルなSFをヒロイズムに関する感動的なメッセージに変えた同作は、徐々にカルト的な人気を獲得していった。同作は、かつてのスーパーマンアニメーションの見た目にオマージュを捧げる一方、「鉄の巨人」というエイリアンが危害を加えるためではなく、助けるために自らの力を活用する姿を描いている。NM

6位『ウォーリー』(2008)

ピクサー・アニメーション・スタジオ創立当初、同スタジオの主要チームメンバーは一堂に会してアイデアをブレインストーミングしていた。そこで、地球に置き去りにされたロボットの主人公という意外な案が浮かび上がった(「いままで知っているキャラクターのなかでも一番悲しいと思いました」とアンドリュー・スタントン監督はのちに振り返った。「でも最高のアイデアだと思ったんです」)。こうして同スタジオ屈指の野心的なプロジェクトが動き出した。というのも、頼れるキュートなロボットのウォーリーと最新型ロボットのイヴの出会いを描いた『ウォーリー』の第1部は、ほとんど無音なのだ。続いて宇宙への旅が映し出され、そこで観客は技術に頼りすぎた人類の行く末を知る。環境保護を推奨し、過剰な消費に反対する同作は不釣り合いで不器用な2人が織りなす感動的なラブストーリー以外の何物でもない。目をうるませずに「It Only Takes a Moment」を聴き通せる人がいれば、教えてほしい。TG

5位『Duck Amuck(原題)』(1953)

アナーキーなどんちゃん騒ぎという様相を呈した脱構築主義的傑作(あるいは、脱構築主義の様相を呈したアナーキーなどんちゃん騒ぎ)の『Duck Amuck(原題)』。チャック・ジョーンズ監督による画期的な短編アニメーション作品は、役者と観客のあいだの見えない“第4の壁”を壊して粉々にした挙句、その下で踊れるようにと紙吹雪のように舞い上げた。子供の頃に観ると、ダフィー・ダックと(ほとんどの場合スクリーンに登場しない)アニメーターとの確執は底抜けに可笑しく、まるで秘密を打ち明けられているような気分になる。だが、大人になってから見返すとそこには微かな恐ろしさがある。ダフィー・ダックの世界はセル画でできているかもしれないが、それは彼にとってはリアルなもので、実は彼自身が閉じ込められているのだ。ラストで画面が引きになると、お茶目なバッグス・バニーがドローイングボードに向かって作業している。いたずら好きのアニメーターの正体は彼だったのだ。でも、さらにカメラを回し続けた場合はどうなるだろう? 絵筆を持ったジョーンズ監督あるいは画面に見入る私たちが写って、その次は……? 短気なアヒルが主役のアニメーションが突如として運命の残酷なまでの無関心さを見せつけてくる。苦い教訓に感謝。SA

Text: Sam Adams & Charles Bramesco & Tim Grierson & Noel Murray & Jenna Scherer & Scott Tobias & Alissa Wilkinson / Translated by Shoko Natori

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