“一緒に笑い、一緒に嘆き、一緒に戦おう”という歌詞について―映像もリモート・レコーディングであることがよくわかるもので、それぞれが自宅で演奏しているシーンを映しだしながら、最後には志帆さん含めた4人が画面上で一緒になるという構成が素晴らしい。志帆:4人の絵が最後に重なるところは、まさしく“一緒に笑い、一緒に嘆き、一緒に戦おう”ということが表現されていて私も感動しました。一番グッときたシーンですね。一緒に笑ったり一緒に嘆いたりできるって、本当にいいなって思って。
―歌詞について、もう少し聞きますね。まずこの歌詞は、人と人とが引き離されている今の状況に対していろんなことを考えながら書いたものだったと思うんですが。もうひとつ、今まさに一緒にいる人の大切さだったり愛だったりを再確認して書いたところもあったんじゃないかと思ったんです。そういう意味では揺るぎないラブソングというふうにも言えるのかなと。志帆:ああ、でもそういうところもあったかもしれない。なんだろ……。今は会えないでいる人もいるけど、だからこそ毎日会えている人と犬にありがたみを感じるし、より気持ちが深まったかもしれないですね。それこそ思い遣りと優しさを持って、一日一日を大切に過ごしていきたいなって思ったところもあったかも。
―みんなが家中心の生活をするようになり、一緒に住む相手のいる人は今までよりも遥かに長い時間をその人と過ごすことになったわけで、それによってどれだけ自分に大切なのか、あるいはそうじゃないのかがハッキリしたと思うんです。その人のよさだったり、愛情だったり、共に生きていくことの大切さだったりを再確認した人が恐らくたくさんいた。一方ではコロナ離婚なんて言葉が生まれたように、価値観の違いがハッキリして別れることを決めた人もいた。もちろん夫婦じゃなくて恋人同士にも当てはまることで。つまり、その人とこの先もずっと一緒にいて、一緒に笑ったり一緒に嘆いたりしていきたいのかどうかということに向き合ざるをえなかった時間でもあったんじゃないかと。志帆:それはあると思いますね。相手のことを思って、そのなかで自分がどういう人なのかを改めて考えるというところもあるだろうし。それとあと、私はこういう世の中になって、会えなくなったみんなの安全を祈る気持ちが湧き出てきてたんですけど、特に一人暮らしの人のことがすごく心配になって。病気をしてしまってしばらくお休みしていたとき、私は一人暮らしで、同じ空間にずっとひとりでいると正気を失いそうになるってわかったんです。だから今回、外出自粛っていうふうになって、けっこう一人暮らしの友人とかに連絡してたんですよ。「どうしてる?」って。一人暮らしの人って自分から「寂しいよ」って言いづらいじゃないですか。
―そうですね。志帆:「一緒にいたい」って言いたいけど言えない人が多いと思うんです。だからこの歌で、そうやって言えない人のために私が言った。たぶん、私自身が言えないほうだからだと思います。一緒にいたいとか、寂しいよとか。
―言わない?志帆:言わない。シャイなので言えないです(笑)。
―でも、Superflyとしてもこんなふうに感情を直接的に歌った曲は珍しいですよね。「一緒にいたい」みたいなストレートな書き方はほとんどしてこなかったでしょ。志帆:そうなんですよ。だからちょっと恥ずかしい気持ちもありつつ(笑)。でも「一緒にいたい」という言葉がポロッと出てきたことをちゃんと自分で受け止めて歌いたいというふうにも思って。
―一緒にいたいし、一緒に笑いたいし、一緒に迷いたいし、一緒に語りたいっていう。志帆:そう。
「Together」MVより―無理に「元気をだそう」みたいなことじゃなくて、弱さだったりモヤモヤした気持ちだったりがありつつ、その上で今の思いを歌っている。そういう意味でシンガー・ソングライター的な曲だなとも感じたし、サウンドと歌い方を含め、まさに今の年齢なりの志帆さんの表現だなと思いました。志帆:ああ、よかった。本当に日々感じることが変わっていくこの頃ですけど、でもそのなかで今だからこその表現ができたかなって思います。
―早くこの曲をナマでも聴ける日が来ることを願ってます。志帆:私も早く歌いたい。(喉を撫でながら)今、喉の調子がすごくいいんですよ。だから……。まあ、ライブはまだしばらく難しそうですけど、また新曲を録りたいなとか、そういう気持ちはあります。
―期待してますね。最後に読者やファンの人たちに伝えたいことはありますか?志帆:はい。どうかご無事で。また会いましょう(笑)。
Superfly
「Together」
配信中
https://superfly.lnk.to/together