URC50周年ベストから読み解く、あの頃の若者たちは人生とどう向き合っていたのか

・友部正人「まちは裸ですわりこんでいる」



『URC 50th ベスト・青春の遺産』DISC2の1曲目友部正人さん「まちは裸ですわりこんでいる」。これは72年1月に出た『大阪へやって来た』というアルバムに入っております。その前にシングル盤『一本道』のカップリングとしても発売されました。で、DISC2のテーマが「旅と街の歌」です。このURCのベストアルバムで選曲をお願いしますよと言われた時に1番悩んだのが、どういう基準で選べばいいか、どういうテーマで集めればいいか、それをどういう順番で並べればいいかっていうことだったんですね。これまでもURCのベストは何種類か出てます。中にはURCに関わった人、URCが好きだった人、有名な人、無名な人、あまり音楽に関係ない役者さんとかタレントさんが曲を選んでいるものもあるんですけど、もっとテーマというんですか、何かが見えてくるアルバムができないだろうか、1枚のトータルアルバムが作れないかと思って、思いついたテーマがこれですね。DISC1は人生とどう向き合っていたのか。総論的なテーマで、DISC2はそこからどう行動していったか、どう旅に出て行ったか。友部さんのこの歌なんかはまさにそういう典型でしょう。友部さんはこのとき21歳です。さて、DISC2「旅と街の歌」2曲目です。再びザ・ディランII「ガムをかんで」。

・ザ・ディランII「ガムをかんで」



これは1973年に発売になった2枚目のアルバム『secound』に入っておりました。先ほど「君の窓から」をお聴きいただきましたが、この曲は大塚まさじさんの詞曲ですね。もうこのとき恭蔵さんはいません。ディランIIも旅の歌が多いです。大塚まさじさんは今でもそういう旅をされているんでしょう。旅の詩人です。さっきの「まちは裸ですわりこんでいる」もこれも旅立つ歌ですね。72年73年っていうあの頃の話をしますと、ディスカバー・ジャパンという言葉をご記憶の方いらっしゃいますよね? 電通と当時の国鉄がはじめたキャンペーンで、田舎に出よう、旅に出ようという。当時、そういう旅ブームの中で、よく交わされた議論がありました。旅行と旅はどう違うのか。違うんですよ。JALパックとか始まった時ですからね。旅行というのは、パッケージされている旅。目的地も日程も決まっていて、泊まるホテルとかツアーコンダクターもいるみたいなそういうのが旅行。旅っていうのはそうじゃない。ゴールも行き先も決まっていない。予定も何もないから旅なので、旅行と人生を一緒にしちゃいけないという議論がしきりと交わされました。若かったと言えば若かったんでしょうが、今の旅、どうなんでしょうね。猿岩石くらいまではそういう旅だったのかもしれませんが、今はどうなのかなと思ったりします。次の曲は、今日最後の曲になります。このスタンダードソングで終わりたいと思います。

Rolling Stone Japan 編集部

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