DEAN FUJIOKAが「地鳴り」にこだわった背景

ー日本のポップ・ミュージックをアップデートしようとする気概を感じました

ドラマで言うシャーロック(誉獅子雄)とワトソン(若宮潤一)、そして仲間たちが、なぜ人は犯罪を犯すのか? という謎や衝動にぶつかっていくために強固なサウンドが必要で。生ぬるい曲じゃダメだったんですよ。それはお茶の間感覚ではなく、生理的に思わせられる強さが必要で。音の選び方にこだわりましたね。エンディングではドリル音を左右に振ってみたり、不気味な感じを醸し出したくて空間を広げたらブラックホールに吸い込まれるみたいにシュッと音で表現してみたり。肥大化する意識と顕微鏡で覗いてる感じの両面、DNAに込められた宿命みたいなものや可能性、犯罪心理学など、いろんな影響を受けて生まれた曲です。

ードラマにおける深いテーマ性を、楽曲の音像として表現しているのがDEANさんらしさですよね。

この2曲を書きはじめた時って脚本が完成する前だったんです。なので、逆に歌詞から脚本に影響を与えられたんじゃないかなって。誉獅子雄のセリフだったり、物事の進み方が「Searching For The Ghost」然り「Shelly」に、逆に当て書きしてくれているような感覚で。有機的に曲とドラマが絡み合ったいいシナジーとなりました。

ー今回、影響を受けた音像などありましたか? DEANさんは、かつてからミックスへのこだわり、かなり強めにお持ちでしたよね。

いろんな作品を注意して聴くようにしていますね。メロディーのフレーズやコード進行がどうとか、リズムパターンよりも音像が主軸になってきています。それがいいかどうかはわからないんですけどね。でも、そこを踏まえて逆算でビートを組んだり、メロディーの構成やハーモニー、コーラスワークを作ったり。そうしないと到達できない感じになっていて。ライブの会場然り、車の中然り、どんな環境でもこういう風に聴こえるといいなぁと逆算で作詞作曲をはじめる、みたいな。その方が現段階では目指している表現にたどり着けるなって思っています。

ーとなると、「Searching For The Ghost」が生まれた経緯は音像というテーマが大きかったのですね。

表面的に見えていた景色とは違う裏側の世界へという、それが“君の名はmystery”ということなんです。ブラスアタックは強い触媒みたいなものというか、ショックを与えるというか。バースに関してはいわゆる人間の世界。ちょっとうらぶれたバックストリートな感じで。

Rolling Stone Japan 編集部

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