DEAN FUJIOKAが「地鳴り」にこだわった背景

ー「Shelly」は、もともとDEANさんが1stアルバム『Cycle』でやられていた日本語〜英語〜中国語詞のミックスというトリリンガルなリリックを持つ作品となりました。音像にもこだわられた5曲入りEP『Shelly』が完成して今どんなお気持ちですか?

サウンド面で言うと、ビリー・アイリッシュが音楽の世界に提示した音像のアプローチが自分の中で大きかったですね。いろんなものが一周したんだなっていうか。彼女やビリー・アイリッシュのお兄さんフィニアス・オコンネルの存在って、自分はシアトルに住んでいた人間なのでカート・コバーンを初めて知ったときの感覚に近かったんですよ。USやインターナショナルでは、ヒップホップやトラップがマジョリティーのなか、ポスト・マローンやビリー・アイリッシュみたいな人が出てきたのが象徴的ですよね。だからこそ、自分はどんな音楽を作るべきなんのかってことに迷いなく向き合えたのが本作だと思います。

ーリード曲「Shelly」の歌詞ですが、どのタイミングで日本語〜英語〜中国語という3言語を使おうと思われたのですか?

歌詞の部分で3つの言語が混じるというのは、1stアルバム『Cycle』の頃になし崩し的に表現した方法論だったんです。振り返ると、当時自分自身がそんな構成の脳みそだったというか。あれが自然だったんですけど、今回はドラマ『シャーロック』の主題歌ということで、逆算してフォーマットとしての必要を感じたので言語を混ぜてみました。この辺も、一周した感じがありますね。まぐれではなくコントロールした形で出せたのは自分のなかではチャレンジでした。サウンドの方向性とメロディーが求める言語感で、自然に出てくる要素を追ったらこのバランスになりました。「Shelly」という曲は、ドラマに出演する登場人物たちを俯瞰している女神のような視点で作りたかったんです。グループだったら数人のヴォーカリストが歌いまわしているイメージで。でも、自分はソロなので言語を切り替えることで手綱を握れた感じがしています。

Rolling Stone Japan 編集部

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