物議を醸した映画『ジョーカー』、全米が本作に震撼した理由

先週公開した映画『ジョーカー』(Niko Tavernise/Warner Bros)

映画『ジョーカー』公開前、米軍も動くほど社会的に物議を醸していた。反動は単なる集団パニックか?それとも本当に非モテ男に同調した映画なのか?『ジョーカー』の一体何がこれほどの騒動を引き起こしたのだろう? 紐解いてみよう。

【注:文中にネタバレを想起させる箇所が登場します】

約半年ごとに、劇場公開前から物議を醸す映画というのが出てくる。今年の秋は『ジョーカー』だろう。ホアキン・フェニックスがバットマンの代表的悪役を演じる、ワーナー・ブラザーズの新作映画『ジョーカー』。10月4日(金)に劇場公開されたので、映画についてあれこれ意見している人の大半はまだ映画を観ていないことになる。にもかかわらず、銃規制から間違った男らしさ、ディズニー社独占検閲問題まで、様々な議論が沸き起こっている。ついにはアメリカ軍も乗り出した。今週初めに漏洩したメモによると、映画の上映時に無差別銃撃事件が発生するという確かな情報を、兵士に警告したというのだ。

では『ジョーカー』の一体何がこれほどの騒動を引き起こしたのだろう? あらためて紐解いてみることにしよう。

大勢の人々が、この映画は非自発的独身者を美化している、と主張している。

『ジョーカー』は、心を病んだコメディアン志望のアーサー・フレック(フェニックス)が、社会から拒絶されたことで心が折れ、犯罪の道に足を踏み入れていくという物語。また、隣に住むシングルマザー(ザジー・ビーツ)からも性的に拒絶されてしまう。こうした展開は多くの点で、過激化し、あるいは人生に絶望して銃乱射に走る、はみ出し者の若い白人男性とよく似ている。この類似が、多くの批判家たちから取り沙汰されているのだ。ヴァニティフェア誌のリチャード・ローソン氏もその1人で、この映画は「病的に描かれている男性を、無責任に宣伝しているともとれる。『ジョーカー』は称賛しているのか、それとも恐れおののいているのか?それとも単純に、どちらも同じことなのか?」と彼は問いかけている。

Translated by Akiko Kato

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