物議を醸した映画『ジョーカー』、全米が本作に震撼した理由

『ジョーカー』が暴力を誘発するかもしれない、という恐怖で、劇場や米軍は過剰な予防策を講じている。

『ジョーカー』に対する批判により大勢の人々が、映画の公開が現実的に暴力を引き起こすのでは、と不安を感じている。2012年、コロラド州オーロラで『ダークナイト・ライジング』上映時に起きた銃撃事件の被害者は、今週初めワーナー・ブラザーズに書簡を送り、『ジョーカー』公開に対する懸念を表明した(銃撃事件の犯人ジェームズ・ホルムズは警察に対し、観客に発砲したのは自分が「ジョーカーだからだ」と繰り返した。だが、オーロラ警察署はこれを否定している)。彼らは映画の公開差し止めを訴えているわけではないが、全米ライフル協会から寄付を受けている政治家への支持を止めること、興行収入の一部を銃乱射事件の生存者や銃乱射防止対策に寄付することをワーナー・ブラザーズに求めている。「我々は、御社の企業規模と影響力をもって、銃のない安全なコミュニティを作ろうという我々の戦いに手を貸していただきたいのです」

米軍も、映画公開時に無差別銃撃が起きる可能性を懸念している。webマガジンGizModoのiO9によれば、アメリカ陸軍犯罪捜査班の上級士官は月曜日、テキサス警察からの「信頼できる」方法として、『ジョーカー』の「上映中に未確認の映画館を狙った」「特定の不穏な書き込み」がダークウェブ上にあったことから、映画鑑賞中は注意を怠らないよう、兵士たちにお達しを出したという。

『ジョーカー』を上映する劇場側も、上映中の暴力対策を講じている。全米で50館以上の映画館を運営するLandmark Theaters社のCEOは公開前に、同館の従業員および観客に対し、上映中の「仮装、フェイスペイント、マスク」を禁じると発表した。コミックファンに悪役の変装を禁じたとして、果たしてどこまで暴力の脅威を軽減できるか定かではないが、こうしたニュースはDCマーケティングチームにとっても芳しくない。同社では公認グッズとして、ジョーカーのトレードマークであるジャケットを新発売したばかりだ。



Translated by Akiko Kato

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE