Suchmos横浜スタジアム公演 4年間の進化を凝縮した「ベスト・オブ・ベスト」

2019年9月8日、横浜スタジアム公演を行なったSuchmosのYONCE(Photo by Shun Komiyama)

Suchmosの“ホーム”である横浜で、3万人を横浜スタジアムに集めてのワンマン。昨秋に開催を発表してからファンの期待が膨らむ一方だったメモリアルなライブとあって、9月8日にかけるメンバーの意気込みは、やはり並ではなかったようだ。

「遂に浜スタか!」と喜ばせてくれてからライブ当日を迎えるまでの道のりは、思いのほか険しいものになった。ツアー中、予期せぬHSU(Ba)の体調不良及び手術によって一部の公演が延期・中止に。それを乗り越えて浜スタ公演の準備に取り掛かると、今度は台風15号が日本に急接近。不測の事態が次々と行く手を阻む。

9月11日深夜、J-WAVE「SPARK」でYONCE が後日談として明かしたところによると、浜スタでの最終リハーサルは本番以上に雨足が強く、ステージを降りる頃にはずぶ濡れになっていたという。彼と共にHSUやTAIKING(Gt)が語ったメンバーの緊張ぶりを今は笑い話として聞けるけれど、実際のところ公演前日の9月7日はライブ開催を危ぶむファンの声がSNSに溢れ、台風の猛威を伝えるニュースが不安を煽り続けていた。「果たして本当にやれるのか?」……そう思いながら夜を明かしたのはメンバーやスタッフも同じだろう。

しかし翌日、奇跡的に天気はどうにか持った。フェスシーズンの終わりと共に一旦しまったポンチョを引っ張り出し、Suchmosと心中する覚悟で関内駅へ向かう。

浜スタに入って周囲を見渡すと、場内はビッシリ満員。会場が会場だけに、開演前から独特な高揚感が客席を満たしている。直前までの不安を振り払い、いよいよここに来た!という想いが、早くもファンをひとつにしているように見えた。こんな状況で特別な日にならないはずがない。


Photo by Shun Komiyama

ライブはほぼ定刻通りにスタート。1曲目には、狙いすましたようにミドルテンポのファンク・チューン「YMM」(横浜みなとみらいを略したタイトル)を持ってきた。こらえ切れない様子で、YONCEの口から早くも「Yokohama baby!」という叫びが飛び出す。HSUのベースをエンジンにして突き進むうちに、曲はよりホットな「WIPER」へと突入。心地いいテンポで踊らせながら、徐々に体温を上昇させていく鮮やかなオープニングだ。

「こんないつ降り出すかわからない中、来てくれて本当にありがとう。パンパンじゃん! もうすでにメチャクチャ楽しいです」とYONCEが挨拶し、次もミドルテンポの「Alright」。軽快にクルーズしつつ、間奏のギターリフ&スクラッチで飛び切りのスリルを運ぶ。この破綻こそが、Suchmosと“シティポップ”とを隔てるポイント。ソウルフィーリングをたっぷり含み洗練されていても、腹の底にはラフネスがある。

YONCEがレスポールJr.を抱えて「DUMBO」を演り始めると、それまでおとなしく観ていた隣席の女性客が身をよじり「カッコイイ〜ッ!」と絶叫。この日、久々にジャージを着たYONCEは短く髪を刈り込み、口ヒゲもさまになる精悍な顔つきでマイクに向かっていた。もともとセクシーなフロントマンだが、武骨さが加わったハードボイルドな風情も悪くない。


Photo by Shun Komiyama


ここまで絶好調のバンドは、再びYONCEのMCを挟む。「本当にやるかやんないか、お客さんの中には帰れるか帰れないかっていう人もいる中、こんなに来てくれてよかった。じゃあ、懐かしい曲をやります」と前置きして始めたのは、Suchmosの原点となった最も古い曲のひとつ、「Miree」だ。「終電で繰り出して/渋谷で待って」という一節を「関内」に変えて歌ったところで、客席から即座に歓声が。粋なサービスであるだけでなく、彼らを初期から応援してきたホーミーたちへの感謝の意味もあっただろう。

そしてこの「Miree」から、間髪入れずに「STAY TUNE」を投入。早めのクライマックス到来に客席がどよめく。序盤の展開はまったく澱みがない。

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