サイエントロジーの脱会者「第2世代」に密着 カルト集団で生まれ育った苦悩を語る

サイエントロジーの脱会者、クリスティ・ゴードン氏の幼少時代のスクラップブック。(Photo by Justin Kaneps for Rolling Stone)



かつてエリート信者だった脱会者の現在

一方で、彼女はなんと理解しようと努力し、他の人たちにも手を貸そうとしている。サイエントロジー時代の友人アビゲイル(仮名)を説得して、避難所に連れてきたのもそうした理由だ。避難所でアビゲイルは、子宮の中にいたときからヘンテコな宗教儀式に参加していたの、と冗談を言った。1人の男性が母親のおなかにクジャクの羽を当て、祝福したというのだ。だが、若かりしころのヒッピーは最初からサイエントロジー信者だったわけではない。左派活動家だったアビゲイルの両親はベトナム反戦活動で出会った。アビゲイル本人も、まだ7歳にもならないころに急進派の市長の選挙ポスターを掲げていた記憶がある。母親は自ら雇ったビジネスコンサルタントを通じてサイエントロジーに入信し、そのままのめりこんでいった。アビゲイルにとってはすべてががらりと変わった。

アビゲイルがサイエントロジーを脱会して11年経つが、現在も教会内部にいる母親に関しては中立の立場を取っている。彼女は2019年秋から修士号課程に進み、サイエントロジーを生む土壌となった文化的、経済的、社会的体制に焦点を当てた自由主義研究を始める予定だ。自分の強烈な過去と向かうべき時がきたと感じているのだ。そこらへんの信者とは違い、現在37歳のアビゲイルはシー・オーグに7年間所属し、階級を昇進して、ついに世界を旅して周りながらホバード氏の思想を布教していた。

だがひとたび疑問を持ち始めると――本人いわく、教会に懐疑的なNPO団体との昼食会や、サイエントロジー幹部との衝突、街角のポン引きと深夜遅くまで交わした哲学的な会話がきっかけとなって――疑念はますます強くなった。「『私、脱会したいのかしら?』と考えたことは一度もなかったの」と本人。「なのに、その言葉がいきなりぽろっと口から出てきたのよ」。ロサンゼルスにあるサイエントロジー国際運営事務局で、彼女は泣きだした。「もういっぱいいっぱいです」と上司に言った。だがそうではなかった。脱会のプロセスの一貫として、アビゲイルは6カ月間、シー・オーグの「ギャレー」(海軍をまねたサイエントロジーの隠語で、もっともきつい業務のことを指す)で強制労働をさせられた。かつての友人たちは、廊下ですれ違う時に自分を無視するか、視線を合わせようとしなかった(教会側は、シー・オーグのメンバーはいつでも脱会できると主張し、強制労働は脱会プロセスには含まれていないと否定している)。


アビゲイル(仮名)。2019年5月、カリフォルニアにて(Photo by Justin Kaneps for Rolling Stone)

Translated by Akiko Kato

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