サイエントロジーの脱会者「第2世代」に密着 カルト集団で生まれ育った苦悩を語る

サイエントロジーの脱会者、クリスティ・ゴードン氏の幼少時代のスクラップブック。(Photo by Justin Kaneps for Rolling Stone)



教会の中では悲しみや不安といった感情が敬遠され、代わりに熱意や心の平穏が尊ばれた

ゴードン氏は9歳のときに母親からカデット・オーグに置き去りにされた。本人の言葉を借りれば、カデット・オーグは教会が運営する「ブートキャンプ」で、そこで彼女は1人の大人と数十人の「見放され、置き去りにされた」サイエントロジーの子供たちと暮らしたそうだ。託児所では乳飲み子の世話に明け暮れ、むさくるしい住環境で蔓延した寄生虫にかからないよう、気を配った。

教会側はゴードン氏がカデット・オーグにいた事実を認めたものの、ブートキャンプだという意見には異を唱えた。彼らが言うには、カデット・オーグは「英才教育とサイエントロジーの宗教指導を提供する施設」だという。ゴードン氏が暮らしていたのは元ホテルを改築した建物で、定期的に地元衛生局の検査を受けていたと主張している。

ゴードン氏は物心ついたころ、教会が自分には合わないと判断した。教会の「エシックス体系」の一貫として、罪のコンフェッションを書くよう命じられた後、彼女はフロリダ州クリアウォーターにあるコモドアーズ・メッセンジャー・オーグから脱走した。それが彼女にとって最後の望みの綱だった(教会側は、ゴードン氏はクリアウォーターでエシックス体系を強制されていないと反論し、彼女の話は捏造だとしている)。

ゴードン氏はサイエントロジーを脱会した後の何年かは、ほとんど何も感じることができなかった。教会の中では悲しみや不安といった感情が敬遠され、代わりに熱意や心の平穏が尊ばれた。だからゴードン氏も生き延びるために、自分の感情を抑え込んでいた。

彼女のような体験は元信者に共通する話だ。これは感情のトーンスケールとして教義に組み込まれているのだそうだ。感情のトーンスケールとは、サイエントロジーの創設者L・ロン・ハバード氏が各個人の生命エネルギー「シータ」を計測するために考案したものだ。現行のスケールは-40(完全なる脱落)から40(存在性の平穏)まで、悲嘆、不安、快活、熱狂などそれぞれの感情がランク付けされている。ランクの低い感情は単に敬遠されるだけではない。それらは悪いシータの前兆であるため、精神的に進歩を遂げるには良いシータに変換しなくてはならない。

話を聞いた信者によると、トーンスケールは教会が負とみなす感情を罰する基準にもなっていて、教会の使命も「悪い」感情を抑制することとほぼ同義となった。第2世代の信者の説明によれば、こうした悪い感情に対処する解決法は、感情を表に出したり認めたりすることではなく、トレーニング・ルーティーン(TR)と呼ばれる一連のコミュニケーション訓練を受けることだという。教会に批判的な人々は、そうした訓練の一部は信者を催眠状態にするのが目的だと言う。そうやってTRの効果をとどめておく、つまり受け入れさせるのだと。その結果どうなるか? 子供世代は無感情なまま成長し、ものを感じることも、基本的な感情を認識することさえもできなくなる。

教会側は、自分たちが負の感情を排除しているという意見を否定し、教義と修行はすべて信者が感情を理解して「精神的に能力を開花させ、意識を高める」ためだと主張している。

Translated by Akiko Kato

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