サンタナを救った一曲、低迷期に大ヒットが誕生した感動秘話

イタール・シャー:その頃には私はすでにマックスウェルと仕事をしていて、彼の「アセンション」がヒットしていた。ゲリーからサンタナが曲を探しているという話を聞いて、ピート・ガンバーグと話をする機会をもらって、その時にデイヴ・マシューズとエヴァーラストとローリン・ヒルとの曲を聞かせてもらったんだ。私は兄と一緒にサンタナを聞いて育ったけど、聞かせてもらった曲はどれも「ブラック・マジック・ウーマン」や「僕のリズムを聞いとくれ」のような曲とは違った。だから、私はそういう曲を作りたいと思ったんだ。そして、私は戻って「ルーム17」という曲を作った。意図的に「ブラック・マジック・ウーマン」や「僕のリズムを聞いとくれ」のようなリズムを作るところから始めたよ。リズムを打ち込んでキーボードを弾いて、デモのギターも弾いたよ。

ガンバーグ:イタールは「あなたが待ち望んでいたヒット・ソングができた」というような少し生意気な態度で来た。テープを再生して曲が終わると私は彼に「いい知らせと悪い知らせがある。いい知らせはこの曲自体は本当にすごく良いと思っているということだ。昔ながらのサンタナが今風になったような感じだ。ただ歌詞が全然ダメだと思う」と言った。「ルーム17」というのはライブの後、アーティストがグルーピーを呼ぶためのホテルの部屋を意味していたんだ。「もし君がカルロス・サンタナという人を知っていれば、彼がこういった曲をやるようなアーティストではないということがわかるはずだ」と私は言った。

シャー:違う、あの曲はグルーピーの曲ではないよ。あれは長い間、会えなかった男女がそれぞれに恋人がいながらもルーム17で密会するという曲なんだ。愛を表現するために人目を忍んで会う方法の1つだったんだ。作り話で、私は週末だけで書き上げた。

ガンバーグ:彼は「この曲はこのままでヒットする」と言い、私は「それはない」と言った。2人で小さい子どもみたいな言い合いをしたよ。「じゃあ他にどんな案があるっていうんだ?」と彼が言い「私の提案は、一旦戻って、デモからボーカルを消したトラックを私に渡してほしい。そして私がトップ・クラスの作家に新しい歌詞とメロディーを書かせる」と私は言った。彼は躊躇していたがボーカルなしのトラックを渡してくれた。そして、私はサンタナのためにそのアルバムのまだ見ぬ1曲目のシングルをヒット曲にできる歌詞とメロディーを書ける人を探さなければならなかった。

エヴァン・ランバーグ(当時のEMIミュージック・パブリッシング副社長、現在の北米ユニバーサル・ミュージック・パブリッシング社長):私はEMIでマッチボックス・トゥエンティーとロブと契約していた。ロブに「いつか君に他の人に曲の提供をするようになってほしいと思っている」と言ったら、彼は「いいね。ぜひやろう」と言った。私の親友のピート・ガンバーグから電話があって「クライヴがカルロスと契約した」と聞いた。

ガンバーグ:まだメールでMP3ファイルが送れるような時代ではなかったから電話をスピーカーに当ててボーカルの入っていない「ルーム17」を彼に聞かせて「この曲に作家が必要なんだ。誰か知らない?この曲を完成できる歌詞とメロディーが必要なんだ」と言ったら、彼が「ピート、ロブ・トーマスってやつがいるよ」って言ったんだ。

思い出してほしい。これは1999年のことだ。だから、私は「マッチボックス・トゥエンティーのロブ・トーマスかい?」って聞いた。当時、マッチボックス・トゥエンティーはすごく成功していたけど、彼らはコレクティヴ・ソウルやフーティ・アンド・ザ・ブロウフィッシュのような感じで、そういうバンドはラジオでよくかかっていたけど少し特徴に欠けていたんだ。ロブは誰もが知るようなアーティストというわけでもなかったしね。でも、エヴァンは「今まで一緒にやったソングライターたちには申し訳ないがロブ・トーマスは私が契約した中でも最もすばらしいソングライターだ。ロブはちょうどマッチボックス・トゥエンティーのツアーが終わったところだから今、彼はフィアンセと家で過ごしていて何もしていない。マリファナを吸うのとプレイステーションをする以外はね。だから、彼にこの曲を送って彼がどう思うか聞いてみようと思う」と言ったんだ。

Translated by Takayuki Matsumoto

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