サンタナを救った一曲、低迷期に大ヒットが誕生した感動秘話

カルロス・サンタナ、ロブ・トーマス、クライヴ・デイヴィス、その他「スムース」の制作の関係者たちが1999年のメガヒットの実現がいかに困難を極めることであったかを語る(Frank Micelotta/Getty Images)

ローリングストーン誌が選ぶ「歴史上最も偉大なギタリスト」にもランクインしている、ギター・レジェンド、カルロス・サンタナ。その腕前は誰もが認めるものであったが、アーティストとして低迷期におり苦しい時代を過ごしていた20年前。まだ、ジャンルを超えるコラボレーションが当たり前でなかった時代に、サンタナを愛する面々が集いサンタナの代表曲を作り上げた。奇跡的なヒットを記録した1999年発表の「スムース」。誰も予想だにしなかったその名曲の誕生秘話を、サンタナ、ロブ・トーマス、そして当時の関係者が今だから語る、貴重なサクセスストーリーを紹介する。

ロブ・トーマスは1999年のカルロス・サンタナとのコラボレーション曲「スムース」がこの20年間でどのような経過をたどってきたのかをよく理解している。「この曲は『ああ、これは最高の夏の曲だ』って言われていたところから『みんなこの曲にはうんざりしてる。もう2度と聞きたくない』って言われるまでになり、それからまた『ほら、もう1回この曲聞いてみよう。思い出がよみがえる。今でもいい曲じゃないか!』ってところまで行ったんだ」と彼は語る。

ジャンルを超えるコラボレーションが当たり前でなかった20年前、この「スムース」のアイデアが突拍子もないこととして扱われていたという事実は忘れられがちである。長年ヒットのないクラシック・ロックのベテランが25歳も若く全くジャンルの違うロックのシンガーとコラボレーション。大掛かりな見直しが必要だった歌詞とメロディーに、レコード会社との法的なハードルに、議論になったボーカル・エフェクト。論理的に考えると「スムース」ほど失敗しそうな計画はなかったのではないだろうか。

しかし、言うまでもなく、実際にはそのような結果にはならなかった。ラテン・ロック曲でもあり、(エルトン・ジョンの「モナ・リザ・アンド・マッド・ハッター」を意識した)賛歌的ラブソングでもあるこの曲はサンタナの激しいリード・ギターの勢いのによって、チャビー・チェッカーの「ザ・ツイスト(ツイスト・No.1)」に次ぐ、史上2番目の売り上げを記録したシングルとなった。「スムース」は年齢問わずすべての層に対しポップ・センセーションを起こした最後の曲の1つであり、その人気は2000年代に入っても衰えることはなかった。ヒット曲としての勢いは止まらず、結婚式の定番となり、トーマスの歌詞の歌い出し(「Man, it’s a hot one …(魅力的だね)」)は様々なミーム(ネット上のネタ)に影響を与えてきた。

20周年を記念して「スムース」という曲を実現し、記憶に残るものにした主要関係者たちと共に、その曲の制作過程とすばらしさとを振り返る。


Translated by Takayuki Matsumoto

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