スライ&ザ・ファミリー・ストーンの必聴20曲

スライ&ザ・ファミリー・ストーンは、1993年にロックの殿堂入りを果たした(Photo by Michael Ochs Archives/Getty Images)


『ドント・コール・ミー・ニガー・ホワイティ』(1969)

ファミリー・ストーンは、アルバム『スタンド!』のいたるところに様々な社会的メッセージを含む隠喩をちりばめたが、『ドント・コール・ミー・ニガー・ホワイティ』には再定義の余地はほとんどない。6分近いこの曲はほぼ全てがサビ(ローズ・ストーンのバースを除いては)で、硬く挑発的なトーンは、アルバム全体のより楽観的な雰囲気とは対照的だ。また、ヴォコーダー(エフェクターの一種)や歪み効果は、宇宙的な雰囲気を演出し、時代を巻き戻しているようでもあり、約5年後に現れるPファンクの宇宙船の出現を予言しているかのようでもある。

『アイ・ウォント・トゥ・テイク・ユー・ハイヤー』(1969)

今ではウッドストックの最も伝説的なパフォーマンスの一つと考えられているこの曲が、1968年のフィルモア・イースト(ニューヨーク市マンハッタンのコンサート会場)の独創的な公演で完成したことは不思議ではない。この曲の元となった『ダンス・トゥ・ザ・ミュージック』の『ハイヤー』はあまり良い曲ではないが、公演のセットリストに入り、即興演奏と共に『I wanna take you higher』というすてきなフレーズが付け加えられた。連れて行ってほしいかどうかは別にして、私たちをより高いところへ連れて行くと約束したこの曲は、アルバム『スタンド!』に収録された時には、ぎこちなく攻撃的な歌に変わっていた。

『ホット・ファン・イン・ザ・サマータイム』(1969)

エピック・レコードは、ファミリー・ストーンのウッドストックでの華々しいパフォーマンスを最大限利用するため、名曲『ホット・ファン・イン・ザ・サマータイム』を急きょシングル化し、1969年8月に1曲のみでリリースした。アルバム『スタンド!』の社会的メッセージと比較すると、このシングルはタイトル通りの楽しい夏の賛歌で、穏やかなノスタルジーにどっぷりと浸かり、彼らには珍しく弦楽器が使われている。批評家は、おしなべて取るに足らない楽しいだけの曲と評し、ローリングストーン誌のジョン・ランド―は、「ザ・レターメンのハードバージョン」と例えた。それから何年も経て、ジョージ・クリントンはこの曲が「ファンクがポップのスタンダードになり得ることを証明した」と絶賛した。

『サンキュー』(1970)

スライが発音をそのまま文字にした奇妙なタイトルのお陰で、『サンキュー』は記憶に残る曲となったのかもしれないが、この曲が不朽の遺産となったのは、ラリー・グラハムの親指に負うところが大きい。彼の『スラップ奏法』のお陰で、ベースはR&Bの主要な楽器となり、一流の音楽ライターであり研究者のリッキー・ヴィンセントをして「1970年代のファンクの時代の幕開けは『サンキュー』からだった」と言わしめた。

Translation by Cho Satoko

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