スライ&ザ・ファミリー・ストーンの必聴20曲

スライ&ザ・ファミリー・ストーンは、1993年にロックの殿堂入りを果たした(Photo by Michael Ochs Archives/Getty Images)


『Everybody Is a Star』(1970)

過去のヒット曲で構成する予定だったコンピレーションアルバムに新作を3曲も追加できたのは、1970年のファミリー・ストーンの人気と実力の表れと言える。『ホット・ファン・イン・ザ・サマータイム』と『サンキュー』は、それぞれ大成功したが、時代を超える一番の名曲は、『エヴリバディ・イズ・ア・スター』だろう。ファミリー・ストーンというバンドを、『エヴリデイ・ピープル』以上に肯定している曲だ。つまり、『ブラック・イズ・ビューティフル』という当時のスローガンをハッピーにした、否、それ以上にハッピーにしたバージョンだ。この曲がファミリー・ストーンの絶頂だったとすると、それはつまり、その後のファミリー・ストーンの曲は下り坂をたどることを意味していた。

6ix 『I’m Just Like You』(1970)

ファミリー・ストーンは、名曲集『グレイテスト・ヒッツ』のリリースの後、1970年にオリジナル・アルバムの制作に入る予定だった。しかし、スライは拠点をロサンゼルスに移す段階でレコーディングを延期することにした。この決断は、グループの関係を悪化させた多くの要因の最初の一つとなった。次の約一年間、スライは引きこもり、バンドメンバーやレコード会社、そしてファンを苛立たせ、薬物中毒や被害妄想に苦しんだ。しかし、同時にこの空白の期間は、スライに豊かな創作の時間を与えた。スライは新しい音楽機器を手に入れ、特に発売されたばかりのドラムマシンの研究をした。ビートボックスは当時まだ珍しく、プロのミュージシャンがスタジオ収録では使うようなものではなかったが、スライは、自身のストーン・フラワーのレーベルでビートボックスの音楽的可能性の追求を始め、6ixというヴォーカルグループに単独でこのシングルをリリースさせた。アルバム『アイム・ジャスト・ライク・ユー』のライナーノーツに掲載された当時のインタビューで、スライはアレク・パラオにこう語っている。「全て本物の楽器だ。自分の心を表現できるものは何だって楽器になる」この考え方は1971年までに完全に実を結び、画期的なアルバム、『暴動』が完成する。

『ファミリー・アフェア』(1971)

グリール・マーカス(音楽評論家)は、『暴動』は「モタついていて聞きづらく、何もたたえないつまらないアルバムだ」という有名な批評を残した。つまり、「ノリが悪い」ということだ。これはどう考えても褒め言葉だ。なぜならアルバムの暗いトーンは、文字通り、そして比喩的にもバンド内部の混乱とアメリカの状況を率直に、そして果敢に表現していたからだ。アメリカは60年代後半の覚醒した時代から目を覚まし、70年代前半には暗い失望感に包まれていた。グループ最後のナンバーワンヒットシングル『ファミリー・アフェア』は、酔いから醒めるように『Everybody Is a Star』の前向きな明るさから離れ、替わりにドラムマシンの魅惑的なざわめき音に巧妙に身を隠しながら、人間同士の争いや弱さを思慮深く表現した。1971年のローリングストーン誌のインタビューで、スライは「俺自身は引き裂かれるような気持ちではない」と主張していたが、スライの周りの人たちは、そうでなければ一体何だったのか、と疑問に思った。

『Runnin’ Away』(1971)

『Runnin’ Away』は、『ファミリー・アフェア』以上に葛藤を内包しているような曲だ。メッセージは、「離れるために逃げている...靴がボロボロになっている」という歌詞にも明らかで、「ハハハ、エッヘッヘ」という笑い声はそんな歌詞をことごとくあざ笑っているかのようだ。しかし、歌詞とは対照的に曲調は明るく、ギターは粋で、晴れやかな管楽器はアース・ウィンド・アンド・ファイアーと一緒に家で過ごしているかのようだ。皮肉がこんなに陽気に聴こえたことはない。

Translation by Cho Satoko

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