スライがロサンゼルスのスタジオに引きこもっていた頃、彼は手の届く限りあらゆる楽器を研究していた。『暴動』にはファミリー・ストーンのメンバーも一応参加していたが、大部分はスライ自身が複数のパートを自分で演奏し、重ね録りした。音を重ねるたびに音質は徐々に劣化し、かすんでもうろうとしたような音になった。『Time』、『Thank You for Talkin’ to Me Africa』、『Luv N’ Haight』やその他の曲も同様に、全て不明瞭でぼやけていた。その効果は悪い予感をさせたが、同時に魅力的で、ファンクの暗黒な核心に向かっているようだった。
ファミリー・ストーン名義の1970年代の最後のアルバム、『スモール・トーク』を中途半端に褒め、実はけなしている最もひどいコメントは、ビルボードの1974年7月の批評だ。批評家は無記名でこう書いている。「表現方法に目新しさはほとんどないが、成功したスターがアルバムを出すたびに新しいことをする必要はない」間違ってはいないコメントだ。『スモール・トーク』の収録曲の大部分が過去作品の焼き直しだが、そのスタイルは色あせてはいない。特に、『Can’t Strain My Brain』は綿密に作られていて、この時期のスライの多くの曲同様、彼の現実の捉え方が徐々に緩やかになってきていることが伺える。