インドの古典音楽をめぐるミナクマリとユザーンの人生論

Takanori Kuroda | 2018/04/16 07:50

| 写真左からユザーン、ミナクマリ(Photo by Takanori Kuroda) |

インドの古典音楽シタールの弾き語りという、ユニークなスタイルで話題を集めるシンガー・ソングライター、ミナクマリとタブラ奏者ユザーンの対談をスペシャル対談をお届け。

インドの古典音楽シタールの弾き語りという、ユニークなスタイルで話題を集めるシンガー・ソングライター、ミナクマリによる通算5枚目のアルバム『shanti, shanti, shanti!』がリリースされる。

前作『REHENA』に引き続き、清水ひろたか(元コーネリアス・グループ、プラスティック・オノ・バンド)の全面プロデュースとなる本作は、まるで砂糖菓子のようなミナクマリのスウィート・ヴォイスと、ロックやフォーク、ジャズ、民族音楽など、さまざまなジャンルをフワフワと渡り歩く摩訶不思議なサウンドが特徴。ポップでありながら、実験的な要素も併せ持った楽曲の数々は、聴くたび病みつきになること必至だ。



今回RSJでは、ミナクマリとタブラ奏者ユザーンの対談を敢行。これまでに何度も共演経験を持つ2人に、お互いの音楽性についてはもちろん、インドの古典音楽を使ってポップスのフィールドで活動する理由についてなど語り合ってもらった。

─お二人の出会いはインドだったそうですね。ミナクマリさんはシタールを、ユザーンさんはタブラを習うためにカルカッタで修行中だったと聞きました。ユザーンさんがタブラを始めたキッカケは、既にいろんなインタビューで紹介されていますが、ミナクマリさんがシタールをやろうとした理由は?

ミナクマリ:高校を卒業して、三鷹にあるアジアアフリカ語学院という語学専門学校に入学したんです。そこでヒンディー語を習っていた時に、インドの音大を出た先輩が練習用のシタールをくれて。その頃やっていたCATCH-UPというロックバンドのレコーディングで、ビートルズみたいにシタールを入れたいなと思ったんですけど、これが全然弾けなくて。「習うしかない」と思って最初は加藤貞寿さんに習っていたんです。その加藤さんの師匠がモニラル・ナグという人で、彼に習いたくてインドへ行きました。

─ビートルズといえば、ユザーンさんも「ビートルズ・シネ・クラブ」(ビートルズの公認ファンクラブ)に入会していたくらい、彼らのファンだったそうですが、タブラにハマったのもそれが大きい?

ユザーン:いや、それは頭の片隅にもなかったですね。確かにビートルズにはタブラが使われている曲があるけど、どちらかと言えば僕は、ジョージのインドっぽい曲は飛ばして聴いていた方でした。それと、インドへ行ったのも別に「インド音楽をやりたい」という理由ではなく、ただタブラをしっかり叩けるようになりたかっただけで。本格的にインド音楽が好きになったのは、タブラを始めてインドへ行って、月日を重ねてからっていう感じですね。そもそも最初は「近所でタブラ買っちゃったから叩こう」というぐらいのモチベーションで始めた楽器だったし。

─インド音楽を習うとなると、どうして皆さんはインドまで行くんですか?

ユザーン:僕らの前の世代の人たち、例えばタブラ奏者の吉見征樹さん、シタール奏者の中村仁さん、ミナちゃんの先生だった加藤くんにしろ、インドで習っていた人たちばかりだったから、それ以外に方法がないと思っていたんですよね。きちんとした楽器を手に入れるためにはインドへ行かざるを得ない、という部分もありました。あとは、当時のインドの物価も関係しているかもしれません。まだ若くてお金がない人でも、長期間しっかり滞在できるような物価でしたから。

ミナクマリ:そうですね。私が初めてインドに行ったのは、学生の頃だから10代の終わりかな。その後、20代の時に2年間住んで、1カ月1万円で料理もついて掃除もしてもらえるという学生寮に住んでいました。

ユザーン:ただ、今や必ずしもインドに行く必要はないと思いますよ。日本にも先生はいるし、YouTubeなどにもいくらでもレッスン動画がアップされてるし。ギターを見よう見まねでやるのと同じように、タブラやシタールを独学で習うことも可能なんじゃないかな。今の若い世代に、どんな流派の演奏もこなすハイパータブラ奏者みたいな人が生まれてきてるのも、SNSやYouTubeが普及してきたからこそだと思う。昔は「秘伝の教え」だったものがクリック一つで観られて、スロー再生だってできますしね。

ミナクマリ:私はモニラル・ナグさんのレッスンを受けていて、感動して泣いちゃうことが何回かあったんです。それだけでも行く価値があったと思う。

ユザーン:感動して泣くなんて羨ましいな。僕はそのころ、絶望して泣いてたから。先生や兄弟弟子と自分との、あまりのレベル差に。

(一同笑)

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