インドの古典音楽をめぐるミナクマリとユザーンの人生論

写真左からユザーン、ミナクマリ(Photo by Takanori Kuroda)



─今もインドに通う理由は?

ユザーン:なんでしょうね。以前は「インドにいると集中して練習する時間を持てる」と思っていたんだけど。でも、一昨年だったかな。インドへ行くのをやめ、日本でしばらく休みを取って練習してみたことがあるんですよ。そしたら、むしろその方が集中できた。インドって何をするにもいろいろ時間を取られるんですが、日本にはそういうのもないので、朝から晩まで何の妨げもなく練習できて。なぜインドへ通ってるんだろうな(笑)。

─オニンド・チャタルジーやザキール・フセインに直接教えてもらえるのも大きい?

ユザーン:もちろんそうですね。先生達は、僕にとって掛け替えのないスーパーヒーローなので。そんな人に会える機会があるなら、なるべく会えるようにしたい。だってザキール・フセインにタブラを習うなんて、考えてもみなかった僥倖ですから。なるべくその幸運を大事にしたいんです。あと単純に、楽器を習うことや、目の前で本当にうまい人の演奏を観るということはとても楽しいんですよ。

─さっきユザーンさんは、最初にインドへ行って「絶望を味わった」とおっしゃっていたじゃないですか。それでも続けられたのはなぜ?

ユザーン:なかなか思うような演奏ができなくて忸怩たる思いはありましたけど、タブラを叩くこと自体はずっと楽しかったからかな。まず、好きな楽器を演奏するってそれだけで楽しいし、ちょっとずつ上達して、出来なかったことが出来るようになるのも嬉しい。だけどその「楽しい」や「嬉しい」といった感情は意外と大事だぞ、と分かってきたのは、ここ数年かなって思います。喜びを見出せないと、続けられないですしね。

──シタールやタブラを、インド音楽以外で使おうと思ったのはいつ?

ミナクマリ:私、ちゃんとしたインドの古典音楽が演奏出来ないんです。いつかシタール1本で古典を表現出来る演奏家にもなりたいとは思っているんですけど。ただ、ずっとバンドをやっていた延長で、自分のための曲をずっと作っていて。シタールでも作ってみたらどうなのかな?とか。そんな感じで、ほぼ思いつきでやり始めたんです。当時、フアナ・モリーナが大好きで聴いていて、「ああいう音楽をシタールでも出来ないかな」と思ったりして。その後、ユザーンに「声、可愛いから歌えばいいじゃん」って言ってもらったのも後押しになりましたね。それまでずっと自分はギタリストだったんだけど、「歌ってみようかな」と思えたというか。

ユザーン:インドにいたとき、ミナちゃんはよく鼻歌を歌っていたんですよね。その何気ない鼻歌が僕は好きで。歌唱力が高いとか音程が安定しているとか、そういうことは全然思わなかったけど(笑)、声も雰囲気もいいなあと。バンドの曲は自分で作っていたっていうから、だったら歌も自分でやってみたらいいんじゃないかと思いました。

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