フレデリックが語る、音楽や芸術へのリスペクト、奇妙さを武器に未来へ進む覚悟

―タイトル曲「優游涵泳回遊録」はミニアルバムの最終曲になっています。歌ものではなく、実験的な楽曲となっていますが、アルバムタイトルと本楽曲にはどういった関連性があるんでしょう。

通常は康司がギター、ベース、ドラム、歌を全部入れたデモを作ってきて、そこからメンバーそれぞれでアレンジしていくんです。そういう意味で、フレデリックとしての『優游涵泳回遊録』は1〜6曲目に入っているんですけど、7曲目は康司が1人で作った作品なんですよね。康司の頭にある『優游涵泳回遊録』を表す音をそのまま出そうってことになって。そこから康司の中での世界観を表現しているので、このタイトル以外ないだろうってところでつけました。

ー歌入れはどのようにされたんですか?

この曲は康司が歌ってます。

ー康司さんが本当にほぼ1人で作られているんですね。コロナ禍以降のインタビューで、メンバーと会わずとも楽曲制作ができる宅録スタイルを作り上げたって発言を拝見したんですけど、本作に関しても踏襲しているんでしょうか。

2020年は、その状況を自分たちでどう遊んでいくかを念頭に置いて、宅録をやるのが1番面白いんじゃないかと勉強してやった結果、『フレデリズム3』で選択肢がすごく広がって。8時間の中で1、2曲録らなきゃいけないとか制限があると「一旦この曲置いといてもいい?」みたいなことができなくて。時間に縛られない選択肢ができたからこそ『フレデリズム3』は面白いものができたと思っていて。今回に関しては7曲目の「優游涵泳回遊録」は家でやっていたりするんですけど、宅録とレコーディングスタジオそれぞれのよさがあるので、よい方法で録ることを自然に選びながら録っているのが今作かもしれないですね。

ーオンラインで作業するようになって、より仲が良くなったともおっしゃってましたよね。

オンラインでメンバーとゲームをするようになって、逆によく話し合うようになったんです。それで仲良くなった部分がでかいですね(笑)。

ーちなみにオンラインで何のゲームをやっていたんですか?

地球防衛軍っていう地球を守るゲームです(笑)。蜘蛛とかが侵略してきて、みんなで戦うみたいな。バンドやなと思うのが、僕と康司は近距離で敵と戦ったり攻めたりするんです。ギターの隆児は遠くから打ったり援護射撃して、ドラムのタケちゃんが回復に回る。その感じはバンドやなって(笑)。

ーそれぞれの役割分担がゲームの中でもできているんですね(笑)。そう考えると、コロナ禍はバンドにとって決してネガティブなことだけではない期間だったんですね。

ネガティブに考えようと思ったらいくらでも考えられたと思うんですけど、これをチャンスにしようって4人で話したんです。全部終わった時に振り返ったとき、コロナ禍があったから自分たちはうまくいったと思えるように転がっていこうって。うまくいかせようというメンバーそれぞれの意思があったから成り立ったんだろうなと思います。

Rolling Stone Japan 編集部

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