佐橋佳幸と亀田誠治が語る、稀代の編曲家・大村雅朗のアレンジ



佐橋:この名曲が収録された『1234』というアルバムは僕も全面的に参加してるんですが、ギターは松原正樹さん。大村作品で今剛さんと並んでたくさん弾いてらっしゃる名人でしたけれども、このアルバムは松っつぁんと僕が主に。

亀田:ツインギター?

佐橋:同時にはやってないんだけど、この2人が全曲弾いているんですね。「Rain」で僕はリズムトラックの録音には呼ばれなかったんで。ダビングで行ったら、プログラマーの石川鉄男くんと大村さんがいて、この曲なんだけど、どう考えても隙間がないのよ。

亀田:もうギターを弾く余地がないと。

佐橋:そう松原さんの素晴らしい演奏が確か2本ぐらい入っていた。これどうしたらいいの?って言ったら、今で言うところのグルーヴがもう1個欲しいと。松っつぁんのノリだから、違うノリで弾いてくれるギタリストのリズムギターが欲しいと。ついでにオブリとかソロみたいなものをいっぺんに弾いて欲しいと。要するに一筆書きしてほしいと。

亀田:ほーーー!

佐橋:今だったら、例えばヒップホップの人だったら、一つのドラムループに対してもう1個違うループを入れてグルーヴを作ったりする。そういうことを大村さんはやろうとしていて。違うキャラクターが入ることによって揺らぎが生まれることを僕はちょっとよく理解しなかった。後でエンジニアの伊東俊郎さんと大村さんが一生懸命編集して、同じ左チャンネルでも途中まで松原さんなんだけど、急に俺になったりみたいな編集に出来上がってんの。

亀田:すごい! モンタージュだ!

佐橋:そうそうそう。すごいこと考えるな大村さんと思って。

亀田:レコーディングの中で大村さんは本当に新しい発明だったりチャレンジをいっぱいされている。佐橋さんも松原さんもスーパーギタリストとしてその当時名を馳せていたにもかかわらず掛け合わせによってね。

佐橋:僕らのコンビの中では「GLORY DAYS」って曲を選んでますけれども、千ちゃんの曲、亀ちゃんも選んでるよね。

亀田:大村雅朗さんのアレンジ作品を聞きまくっていた頃の教科書です。

Rolling Stone Japan 編集部

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