2MC+1DJ体制での活動再開を発表し、2022年4月に第一弾シングル「Human Nature」をリリースしたRIP SLYME。そこから5作連続で届いたシングル楽曲は、変化を柔軟に受け止めながらRIP SLYME節を守り続ける姿勢が強く感じられるものだった。【写真を見る】RIP SLYMEのライブ写真今回のインタビューでは5作の制作背景をリリース順に徹底深掘り。リスタートが2022年になった事情や、当初の5カ月連続リリースにならなかった理由、RIP SLYMEの内側に起きた変化や、今後RIP SLYMEが求めるモノなど、「(笑)」多めで語ってもらった(編註:聞き手はメンバーと親交の深いライターの猪又孝)。
―4月に活動再開を発表して約8カ月が経ちました。ここまでの動きをどう感じていますか?FUMIYA 慌ただしかったですね。活動再開後の体感スピードがかなり早くて。リスタートを発表しちゃった手前、曲を作らないとまずいぞって。でも、5カ月連続とか言ってなかったら作業が進まなかったんだろうなとも思います。
ILMARI 曲のストックはいろいろあったんですよ。だけど、3曲目くらいから「次、どうしよう?」となって(笑)。当初の予定通り、5カ月連続にはならなかったですけど、5作連続リリースにはなったので良かったです。
RYO-Z RIP SLYMEで久しぶりに作品をリリースできることはもちろん、活動再開を発表したら、すぐにフェスも決まって嬉しかったですね。僕とILMARIはTERIYAKI BOYZ®も同時に再開したので、たまに何やってるのかわからなくなるくらいでした。ステージ上で歌詞が丸飛びするくらい。「あれ? 何歌ってたっけな?」みたいな(笑)。
ILMARI 今、WISEが、RIP SLYMEのライブのサポートをやってくれているので、TERIYAKI BOYZ®でも3人一緒じゃないですか。なので、時々、なんだかわからなくなるっていうのはありました。FUMIYAと(おかもと)えみちゃんがいたらRIP SLYME。VERBALがいたらTERIYAKI BOYZ®。横を見て確認してました(笑)。
―再開後1発目のライブが6月の「やついフェス2022」でした。ILMARI サポート2人を入れたステージを一回もやってないから、お客さんの反応がまったく読めなくて、正直ちょっとドキドキしました。でも、そこで掴めた感じがあって、そのあとは安心して、えみちゃんとWISEのサポートでライブができるようになりましたね。
―新体制第一弾シングル「Human Nature」は、2019年12月に内輪の仲間を集めた忘年会パーティで披露していた曲ですよね?FUMIYA そうです。ほぼ、そのときに出来てました。作ったのは2018年くらい。活動が止まってからデモを作り始めた中の1曲でした。
RYO-Z 歌詞もそのときから直してないですね。
ILMARI だから本番のレコーディングも早かったです。これと「Gentleman」は結構前からできてたんです。
―「Human Nature」は、どのようなイメージでビートを作ったんですか?FUMIYA ヒップホップ精神というか、RIP SLYMEでやってきたような雰囲気を振り返ろうという意識がありました。1発目はサンプリングしてチョップしまくる曲でいきたいと思っていたんです。女性コーラスとか入れず、MC2人の声だけでラップしてもらう曲。シンプルにヒップホップな曲をイメージして作りました。
―ULTRA MAGNETIC MC’sやPoor Righteous Teachersを意識したそうですが、80年代末から90年代初頭のファンキーなヒップホップの雰囲気を取り入れたかったんですか?FUMIYA そうです。ヒップホップの王道。ダンサーが好きそうなヒップホップというか(笑)。
ILMARI 言われればそうかも(笑)。
―「Human Nature」の歌詞はどのように書き進めたんですか?RYO-Z 仮タイトルは「Brother & Sister」で、まずは俺がぶわーっと叩きを作って、みんなで直していきました。テーマは活動休止期間の日常ですね。本当に何にもやることがなかったから(笑)。でも、腐っていてもしょうがないから楽しいことを想像しながら、どうにかなるよ精神でやっていかないとなって。それが人間だから、みたいな。そこからタイトルが「Human Nature」になるんです。なにか面白いことをちゃんと考えていこう、そういうワクワク感を書きたいなって。特に僕が好きなストレートなヒップホップトラックだったんで、書くときに迷いはなかったですね。
―とても楽観的ですよね。どうにかなるさ精神だもの。RYO-Z それが僕らっぽいかなと。頑張っていこうぜっ!っていうタイプでもないし。
ILMARI それを2019年のパーティで初披露して、そのあとにイベントもやっていこうと考えていたらコロナ禍に突入しちゃったんです。
RYO-Z 当初は2020年春にライブを再開させていこうというプランだったんです。実際、出演の話もあったんですけど、コロナでサッとなくなって、このタイミングになったんです。
―「Human Nature」を復活1発目の楽曲にした決め手は?RYO-Z スタッフも含めて、僕らのデモの中で一番初めに「あ、できた」と思えた曲だったんです。一番僕ららしく仕上がってるねって思いは3人共通してた。だから2019年の時点でも歌おうとなったわけで。活動再開のときには迷いなくこれが第一弾という空気でした。
―そもそもトラックにFUMIYA節が炸裂していますよね。イントロからSEがてんこ盛りで、サンプリングした音源をチョップしまくってる。RYO-Z いかにもFUMIYAっていう感じですよね。終わり方も変だし。「あれ、終わった?」みたいな。
FUMIYA ♪ひょょょ〜ん♪って。おもちゃ箱みたいな感じの曲にしたかったんですよ。