旧統一教会の過激分派「サンクチュアリ教会」指導者が語る、ライフル銃崇拝の理由

共和党員やトランプ氏との接点

キリスト教終末論と憲法修正第2条(訳注:武器保有権が規定されている)の原理主義的な解釈をペンシルベニア州というスイングステート(訳注:民主・共和両党の支持基盤が盤石とはいえず、大統領選挙などで激戦が繰り広げられることが多い州)で融合させることで、サンクチュアリ教会は筋金入りの共和党支持者と交流したいMAGA共和党員たちを惹きつけてやまない。

ペンシルベニア州ニューファンドランドにある亨進氏の教団は、国進氏の銃ビジネスと切っても切れない関係にある。国進氏が経営するカーアームズが同州のグリーリー(どちらもスクラントン郊外の街)に本社を構えているのも、決して偶然ではないのだ。

カーアームズは、トンプソン短機関銃などを製造している武器メーカーだ。このほかにも、「トミーガン」と呼ばれる小型機関銃やAR-15も製造している。同社はNRAから「当協会の重要な仲間」と称賛される一方で、それよりも強硬派の米国銃所有者協会(GOA)とも積極的なパートナーシップを結び、GOAの「妥協なきアライアンス」の一員として銃規制の強化に反対している。

亨進氏は兄を「教団の信者」と呼び、「すべての信者がそうであるように、兄は自らの意志で(中略)教団に貢献しています」と語った。教団名をRod of Iron Ministriesに変えたことは、兄のビジネスの拡大と関係があるのかと質問すると、亨進氏は「ノー」と否定し、「あるわけがないでしょう」と言い放った。


MAGA運動の指導者であるトランプ氏を称えるにあたり、国進氏の武器メーカーはトランプ氏のモチーフやスローガンをあしらった武器のコレクションを発表した。 (©Rolling Stone)

父親の鮮明氏がそうしたように、文兄弟はアメリカの右翼権力者たちと確固たる結びつきを形成しようと奮闘してきた。ふたりにとって現代の共和党は、多くの実りをもたらしてくれる肥沃な土壌なのだ。

2016年に国進氏の会社がTommy Gun Warehouseという銃砲店をオープンすると、亨進氏はこの店を祝福し、トランプ氏の息子のエリック・トランプ氏は基調演説を行った。文兄弟は、トランプ氏の息子と一緒に写真に収まる機会を逃さなかった。そのときの写真は、亨進氏だけでなく、国進氏のSNSアカウントにも高々と掲載されている。

MAGA運動の指導者であるトランプ氏を称えるにあたり、国進氏の武器メーカーはトランプ氏のモチーフやスローガンをあしらった武器のコレクションを発表した。POTUS 1911やCommander in Chief AR-15、さらには第45代米大統領へのオマージュが込められた45口径のTrump Thompson Tommy Gunなどが展開されている。

文兄弟は、2019年に「憲法修正第2条を称える、特定の宗教にとらわれないイベント」
を謳うRod of Iron Freedom Festivalを開催した。2021年のイベントには、トランプ氏の元側近のスティーブ・バノン氏や「保安官には、何が合憲で何がそうでないかを決める権限がある」という虚偽の理論を打ち立てたリチャード・マック氏、NRAの元スポークスパーソンのダナ・レッシュ氏、『More Guns, Less Crime(銃を増やせば犯罪は減る)』の著書ジョン・ロット氏らが参加した。

亨進氏は、神の意志によってトランプ氏が2020年の大統領選挙に勝利すると信じていた。

選挙運動期間中、亨進氏は徹底してトランプ氏を支援した。2020年11月2日にSNSに投稿された自撮り動画では、スクラントン近郊の集会にMAGAキャップを被り、「神よトランプを守りたまえ」と熱心に唱える姿が映っていた。

Translated by Shoko Natori

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE