米退役軍人、レジスタンスの心得と戦術をウクライナ市民に伝授

アメリカの元軍人たちが介入する意味

その日の夜遅く、私は「今回の計画がロマン的な冒険とは違うという根拠はどこにあるのか?」という意地悪な質問をハンニバル氏とフェイスマンに投げかけた。彼らは、アメリカの“汚い戦争”の償いをしているのだろうか? 「私は戦いに対して一切幻想を抱いていませんし、アフガニスタンでの行いの正当性を示す必要もありません」とハンニバル氏は力を込めながら言った。

でも彼は、アメリカの元軍人たちがウクライナ市民の戦闘訓練を指導していることはNATOとロシアとの戦争を引き起こす直接的な理由になるのでは?と懸念を示していたではないか。

「NATOが大々的に行なっていないことは、私たちも一切行なっていません」とハンニバル氏は言った。「志願者たちは、今後戦うことになるでしょう。彼らは訓練を受けずに、またはある程度訓練を積んでから戦うことになります。いずれにしても、彼らが戦うことは避けられません」

フェイスマンも口を挟んだ。「命を落とす子供たちもいるでしょう。ロシア人兵士も、ウクライナ人兵士も命を落とすでしょう。何よりも最悪なのは、これが誰かひとりの“静かなる戦い”ではないということです」

軍事訓練が続く中、私はウクライナの「外国人部隊」が本当に軍事組織として結成されるのか、それともハンニバルが行なっているような民間人志願者のための軍事訓練的としての限定的な外国人の関与に終わるのかを突き止めようとしていた。

ターニャの連絡係のひとりは、外国人戦闘員のウクライナ入国が認められたことを彼女に伝えた。その数日後、「キエフ防衛」を謳う戦闘服姿の数名の外国人の写真がソーシャルメディアで拡散された。ウクライナを守るため、一部の外国人が武器をとったことはどうやら事実らしい。

ハンニバルは、多くの軍関係者および“準関係者たち”が複雑な計画を携えて彼らに接触してきたと語る。

「たとえば、『この人に接触して、あの人に会って、アパートメントの鍵をもらって、輸送手段を手配して……』という内容のメッセージを送ってくれます。でも、彼らはアメリカにいます。私たちは現場にいるのです」

速やかに軍事訓練を行なうほかに長期的な計画を立てるには状況はあまりに流動的だ、とハンニバル氏は言った。だが、使命感とモチベーションのある人であれば、必ず参加できると確信している。

「これが戦争の真実です。大きなリスクをとって現場に行ったとしても、拒絶されることはありません。戦争に加わりたいなら、そうすることができます」。ハンニバル氏は、次のように締めくくった。「それによって、戦争がリアルなものであることを実感するのです」

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from Rolling Stone US


Translated by Shoko Natori

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