ロシアの女スパイ、ウクライナは自国を爆破していると主張

ロシア連邦国家院議員のマリア・ブティナ。下院選挙後に首都モスクワで行われた第8新議会にて。(Photo by Ilya Pitalev/Sputnik/AP Images)

ロシア軍によるウクライナ侵攻が続く中、銃ロビー団体の全米ライフル協会(NRA)に潜入し、数名の共和党員たちを魅了したのちに18カ月の禁固刑を言い渡されたロシアの元工作員マリア・ブティナがプーチン派の熱心な支持者として頭角を現している。ウクライナを荒廃させているのはロシアではなく、ウクライナそのものであると主張しているのだ。

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「ロシア軍が民間人に危害を加えたり、爆弾を落としたりしていないという証拠は無数にあります」と、ブティナは現地時間3月9日に英BBCラジオのプレゼンターを務めるニック・ロビンソンに語った。

ブティナの発言は、「あなたは本気でウクライナが自国に爆弾を落としていると思っているのですか?」というロビンソンの詰問が引き金となった緊迫した会話の終わりに出てきたものだ。「(こうした攻撃が)ロシア軍によるものであるという確かな証拠を見せてください」と述べてから彼女は、攻撃にさらされているウクライナの諸都市から市民を避難させるために「人道回廊」を設けるというロシア政府の計らいを擁護した。だが、これらの人道回廊の行き先はロシアとベラルーシだ。「彼らはウクライナ国民です。彼らには、ウクライナの領土に避難する権利があります」と、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領の報道官はロイター通信に語った。

「ウクライナの諸都市を破壊している爆弾は、ウクライナ軍が自ら放ったものだとおっしゃるのですか?」と、ロビンソンは再度訊ねた。

「そうではないといいのですが」とブティナは答えた。「自国民に爆弾を落とす人がこの世いるなんて思いたくありません。そんなことは信じたくありませんし、誰かが正教会の司祭を拷問するなんて考えたくないです。でも、彼らの多くはそうしているのです。これは異常事態です」

その後もこのようなやりとりが続き、会話の中では自らの主張を立証することも否定することも避けた。

その後ブティナは、メッセージアプリ・Telegramの「ゼレンスキーはウクライナにいない」という投稿とともにウクライナが自国を爆破しているという主張を補填した。「ゼレンスキーがキエフにいる? 実際はその反対です」というメッセージとともに彼女は、ゼレンスキー大統領の髪型の変化を大統領が自国を逃れた「証拠」ととらえる投稿のリンクを貼り付けた。ロシアによるウクライナ侵攻が始まって以来、ゼレンスキー大統領はウクライナに留まっている。それだけでなく、3月7日の夜には首都キエフの執務室で動画も撮影した。

Translated by Shoko Natori

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