甲斐バンドの70年代・80年代 新しい時代を切り開いた軌跡

三つ数えろ [Live] / 甲斐バンド

ザ・ローリング・ストーンズが「俺たちにはストリートで踊ることくらいしかできない、俺たちはストリートで戦うことしかできないんだ」と言った、1970年代の終わり頃の東京、大都会の若者たちの彷徨えるパッションというんでしょうか。ザ・ビートルズに始まり、ザ・ローリング・ストーンズ、デヴィッド・ボウイ、ロキシー・ミュージック、ブライアン・フェリーらイギリスの洋楽をモチーフにしながら、日本の若者のリアリティをずっと歌い続けてきたのがその頃の甲斐バンドだったと言っていいでしょうね。

この「三つ数えろ」も映画がありまして、1955年に公開されたハンフリー・ボガートの主演作です。原作はレイモンド・チャンドラーの『大いなる眠り』という小説で、映画の中には私立名探偵のフィリップ・マーロウが登場する映画でした。これが「三つ数えろ」というタイトルで、1970年代の終わりに蘇っている。映画好きと小説好きの一面であり、それからハードボイルドというのは、今後さらに色濃くなっていくテーマです。甲斐バンドの歴史は、「HERO (ヒーローになる時、それは今) 」以前、以後に明らかに分かれていますが、これはヒット曲ということだけではなく、1979年の前半のツアーの最終日でベースの長岡和弘が抜けて、休止期間があった。そして、1979年の秋のツアーに入っていくのですが、初日はNHKホールです。NHKホールをロックに初めて使ったのが甲斐バンドですね。それまでは小椋佳さんやユーミンはやってましたけど、ロックバンドにはなかなか敷居が高い場所でした。そこで甲斐バンドが初めてコンサートを行なって、テレビでも放映されました。アルバム『マイ・ジェネレーション』もアルバムチャートで1位になった。『マイ・ジェネレーション』のリリースと同じ月に、シングル『安奈』が出ました。これはチャート4位のヒット作となりました。今日は、1979年12月の武道館ライブでの「100万$ナイト」で締めたいと思ったのですが9分以上あるので、この「安奈」を1983年のライブ「THE BIG GIG」のバージョンでお聴きください。

Rolling Stone Japan 編集部

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