UFC、1万5000人動員の有観客試合ができた理由

観客のうち半分はフロリダ州外からの来場者

24日のイベントでは空席は一つもなかった。UFCスタッフがローリングストーン誌に語ったところでは、UFC 261に集まった1万5000人以上の観客のうち50%強は、フロリダ州外からの来場者だそうだ。

会場は第1戦から大盛況だった。州の規制が緩いため、マスクやフェイスカバーの着用は観客の任意に任されていた。大勢の人々が着用しないほうを選択していた。本誌記者が何度か観客席を目視したところでは、ひいき目に見ても顔を覆っているしている人は25%というところだった。

フロリダ州オーランドから車を飛ばしてやってきたカイル・ラモニカさんは、マスクを着用していたうちの1人だ。

「僕自身すでに予防接種を完了していますが、個人的にはやっぱりマスクは着けたいですね。万全を期しても、誰かに迷惑がかるわけじゃないし」とラモニカさん。「あとで後悔するよりも、安全に気をつけていたほうがましですよ。この国では、自分の行動を自分で決めることができる。マスクを着けたからって誰の迷惑になるわけじゃないし、僕自身も全く困らない。だったら、少しばかり安全に気を付けていたほうがいいでしょう」

ボストンから来たボビー・キャリーさんの意見は違った。彼は生まれて初めてUFCを生で観戦するために、はるばるボストンから飛んできた。マスク着用を選んだ人に文句はないが、自分はマスクを着けない権利を行使する、と彼は言った。

「オプションにすればいいんだよ」とキャリーさんは言う。「着けたければどうぞご自由に。着けたくなければそれも結構。現時点では選択できるようにするべきだ。もう1年以上もこういう状況を経験してきて、俺に言わせれば、マスクは大して役に立たないことも証明されている。着けたくないなら、着けなくてもいいはずだ」

会場内から見た限りでは、マスクを着けていた人と着けていない人の間で何らかのいざこざが起こった様子はなかった。誰もが、UFC史上に残る名勝負となったショーを楽しんでいた。

王座をかけた3大タイトルマッチは、いずれも見事なKO勝ちだった。メインイベントではウェルター級王者のカマル・ウスマンが対戦者ホルヘ・マスヴィダルをKO。女子ストロー級の試合では、挑戦者ローズ・ナマユナスが王者ジャン・ウェイリーを第1ラウンドでノックアウトし、王座を奪還。女子フライ級王者のヴァレンティーナ・シェフチェンコはジェシカ・アンドラージを破って連覇を達成した。

会場で試合をじかに観戦した人はみな、きっとこの日の出来事を忘れないだろう。特別な一夜という雰囲気だった。

だが、はたしてその影響はいかに? 時間が経たないとわからないが、スーパースプレッダーの可能性を懸念するのは当然だ。アリーナ内に広まったウイルスが複数の人間――ひょっとすると数千人――に共有され、彼らを介して全米各地に広まってしまうかもしれない。

それが実際に試合当日に起きたかどうかは、しばらく様子を見るしかない。だがホワイト代表は、ジャクソンビルでの歴史的な夜(意見は分かれるかもしれないが)を飾ったと信じ、さほど心配の色を見せていない。

「マスクを着けたければ着ける――着けたくなければ着けない」とホワイト会長。「マスクを着けている人を見ても、私は何も言わない。マスクを着けていない人を見ても、誰も文句は言わない。みんな自分のことは自分で世話している。何よりも、他のクズみたいな州にいるよりは、みんなフロリダにいる方がずっと幸せそうじゃないか」

「ここでは誰もが自分のことは自分で管理し、それぞれ自分の生活を送っている。本来そうあるべきだ。今日はいい気分だった、市長がいて、州知事がいて、一緒に働く仲間とともに安全なイベントを開催して、みんなが集まって楽しんでくれた。最高じゃないか。文字通り、これ以上ない出来だった。イベント開催も計画も、これ以上ないくらいよくやった」

from Rolling Stone US

Translated by Akiko Kato

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