UFC、1万5000人動員の有観客試合ができた理由

現地時間24日、米フロリダ州ジャクソンビルのVyStarベテランズ・メモリアル・アリーナで行われたUFC 261(Photo by Alex Menendez/Getty Images)

米フロリダ州ジャクソンビルで現地時間24日に開催された総合格闘技「UFC(Ultimate Fighting Championship)」の大会「UFC 261」。会場となったVyStarベテランズ・メモリアル・アリーナには1万5259人のUFCファンが詰めかけた。2020年3月にCOVID-19が全米で猛威を振るって以来、満員御礼で行われる米国初の屋内イベントとなった。

【動画を見る】大歓声に包まれた客席の様子、マスクを着けてる人はほとんどいない

ワクチン接種率が上がっているとはいえ、当然ながら、早すぎはしないかという疑問が持ち上がった。だが批判する人々の抵抗をよそに、UFCダナ・ホワイト代表は断固開催する意思だった。これ以上引き留める危険はない、というのが代表の意見だった。

来場者は全員CLEAR(空港やイベントでセキュリティチェックやチケット確認を迅速化するアプリを扱う安全識別プラットフォーム)が作成したアプリをダウンロードして質問票に記入し、コロナウイルスの症状の有無に関する質問に回答するまでは、観客席につくことができない。それに加えて各人は、万が一ウイルスに晒される事態になった場合でもUFCは健康上の問題に一切責任を負わない、という免責事項に署名しなくてはならない。

世界が経済を再開する中、この手の免責事項は日常茶飯事となりつつある。ホワイト会長が判断するかぎり、予防措置によって「安全な」環境が確立された。

「COVID-19を乗り越えて、安全に事を進め、真っ先に再開する。そして今夜、満員御礼の会場でこれをやることがすべて(ひとつの大きな節目だ)」。UFC 261の試合後の記者会見で、ホワイト代表はローリングストーン誌に語った。「今週はずっと選手や我々(スタッフメンバーおよびメディア)にCOVID-19検査を行った。私も今週ずっとCOVID-19検査を受け、全員大丈夫だったし、念には念を入れた。そろそろ通常営業に戻るときだ。君たちメディアの連中は、いろいろな点で俺と同じ意見じゃないのは分かっている。だが、今週フロリダに来て、前と変わらない状況で最高に気分がいいのは否めないはずだ」

アメリカの大多数の州では、こうした状況下でUFCを進んで支援しようとはしていない。だがフロリダは違う。共和党のロン・デサンティス州知事はパンデミック初期の2020年5月、UFCにアリーナでの無観客イベント開催を3回も許可した。それからほぼ1年後、今度はUFC 261に門戸を開いた。

物議をかもしている人物ではあるものの、デサンティス州知事もジャクソンビルのレニー・カレー市長もホワイト代表おの考えに同調している。フロリダには他の州が抱える懸念は存在しない、というメッセージを発信したがっているのは明らかだ。

「フロリダへようこそ。自由のオアシスを求めてやってきたのは皆さんだけではありません」。UFC 261試合前の記者会見でデサンティス州知事はファンにこう語った。「このイベントはCOVID-19に見舞われて以来、アメリカで初めて、屋内で、フル稼働で行われるスポーツイベントです。当然でしょう。安全には配慮してきましたが、メディアやソーシャルメディアからはいろいろ言われています。中には対応したがらない人もいるでしょう。ダナ・ホワイト代表はものおじせず立ち向かっています」

Translated by Akiko Kato

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