ストーンズとカンのドラムから考える現代のリズム 鳥居真道が徹底考察

「Scarlet」のリリックビデオを背景に鳥居が撮影したCD『Tago Mago』


リヴォンと同様に、チャーリー・ワッツも微妙なハネが演奏に混入してくるドラマーだと思っております。その代表例として挙げられるのが「19回目の神経衰弱」の微妙なスイング感覚です。この曲でチャーリーは細野晴臣が言うところの「おっちゃんのリズム」的な演奏を披露しています。

チャーリーのドラムといえば癖が強いことでおなじみです。しかし、その癖とは一体なんなのか。ハネという面からこのことについて考えみたいと思います。例としてドラム(+カウベル)から始まる「Honky Tonk Women」を取り上げます。



この曲のリズムはややルーズなフィールで演奏されるロックンロール調のものです。アメリカ南部のイギリス流解釈といったところでしょうか。ハイハットはストレートな8分音符で刻まれています。つまりハネていない。しかし、どうもキックの様子がおかしい。微妙にタイミングがゆらゆら揺れているように感じられます。この揺れはなんなんでしょう。

おそらく若干ハネ気味に演奏されているのだと思われます。ハットはイーブンの8分刻みなのですが、キックが微妙にハネたりハネなかったりしているように聴こえます。単純にハットに対してキックのタイミングが後ろに来ているからそのように聴こえるのかもしれません。非常に感覚的な話なので、思い込みの域を出ないかもしれません。しかし、ハットとキックの間にある種の緊張感があるように感じられることは確かです。一人の人間の内に別のタイムラインが同時に進んでいると言いましょうか。上半身と下半身で分離している感じ。

かねてからチャーリー・ワッツのドラムってモタっているようにも聴こえるし、突っ込み気味にも聴こえるよなぁと思っていましたが、それはハットとキックの間の緊張感に起因するものなのではないかと改めて思った次第です。

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