ストーンズとカンのドラムから考える現代のリズム 鳥居真道が徹底考察

「チャーリー・ワッツがすごい!」という感想を自分の周辺でいくつか見ましたが、わたしも全くそのとおりだと思いました。しかし、ほどなくして、ドラムを叩いているのはチャーリーではなくブルース・ローランドというジョー・コッカーのバックバンドだったグリース・バンドやフェアポート・コンヴェンションなどで活躍したドラマーだと判明し、脱力してしまったというオチがあります。ベースもビル・ワイマンではなく、元トラフィックのリック・グレッチが弾いています。つまりリズム隊はストーンズではないということです。

「Scarlet」のドラムはミーターズのジョー“ジガブー”モデリストを彷彿させます。ニューオーリンズ・ファンクのような微妙なハネ具合が感じられます。微妙なハネ具合ということで言えば、ザ・バンドの「Up On Cripple Creek」におけるリヴォン・ヘルムのドラミングに近い感覚もあります。



「Scarlet」でドラムを叩いているのはチャーリー・ワッツではありませんが、チャーリーとリヴォンの関連性を示す話を紹介しましょう。『Classic Albums』というロックの名盤を当事者や関係者の証言で振り返るドキュメンタリーシリーズの『The Band』編に、セッションドラマーのジム・ケルトナーが出てきて、リヴォンの奏法について語る一幕があります。ケルトナーが「リヴォンはバックビートでハイハットを叩かないんだよね」と言うので、「それってチャーリー・ワッツと一緒じゃん!」と思った記憶があります。二人ともスティックの握り方がロックのドラマーには珍しいレギュラーグリップという共通点もあります(しかし、そんなことを言い出せば多くのドラマーがマッチドグリップという共通点を持つわけで、共通点とは? という話になってしまうのですが…)。

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