ワン・ダイレクション再結成の可能性は? メンバーの全発言を徹底検証

5.ゼイン・マリク
再結成に参加する確率:0%

Illustrated by Matthew Chow

本誌は、最後にゼインを持ってくることにした。というのも、ゼインなしの1D再結成は本当の意味での再結成とは言えないからだ。ゼインはグループのアルバムのなかでももっともオイシイ部分を担当してきた人物だ(「Steal My Girl」のハイトーンはいま聴いても鳥肌モノだし、心のこもったゼインの歌声なくして「Night Changes」はあれほどの名作にはならなかった)。ゼインは、キャリアのスタート地点からあまりにも遠い場所に行ってしまったような印象を与えるだけでなく、グループを脱退した頃から1Dとメンバーへの言及を避けてきた。要するに、ゼインとグループのあいだには憎しみしかないのだ。物柔らかな話し方でおなじみのゼインは大々的なインタビューを控えてきたものの、2015年の米FADER誌の記事では「そもそもあのグループには、僕がさまざまなクリエイティビティを試す余地なんてなかったんだ」とコメントし、1Dの楽曲を「クソみたいにつまらない」と評価した。

ゼインは、1Dのなかで最初にソロ活動を開始したメンバーであり、デビューアルバムの先行シングル「PILLOWTALK」はいまでも史上最高のデビューシングルのひとつに挙げられる。しかしながら、ゼインのキャリアはそれ以来山あり谷ありだった。テイラー・スウィフトとのデュエット曲「I Don’t Wanna Live Forever」(映画『フィフティ・シェイズ・ダーカー』のサントラ収録曲)の大ヒットにもかかわらず、セカンドアルバム『Icarus Falls』は米国・英国の音楽チャートトップ60にさえランクインすることができなかったのだ。

新作に着手していると報じられているほかの4人と異なり、ゼインは今後のプロジェクトについて一切言及していない。ゼインに関する最後のニュースといえば、実写版『アラジン』(2019)のサントラ用に新人シンガーのジャヴァイア・ワードと「ホール・ニュー・ワールド」をデュエットしたくらいだ。あとは、シェイドの「Trampoline」(ひどく過小評価された楽曲)のリミックスにも参加している。これらの一回限りのプロジェクトからは、気分が乗っているときに——それも心から好きになれるプロジェクトにだけ取り組むというゼインの音楽への姿勢がうかがえる。いまのところ、そこに1D再結成は含まれていないようだ。

それに加え、4人のメンバーが友好的にグループから脱退したのに対し、ゼインは2018年のインタビューで次のように語っている。「あのグループでは誰かと仲良くなることはなかった。なんとなく、そうしなかったんだ。別に怖くて隠しているわけじゃないから、はっきり言うよ」。メンバーを友人と思わないゼインにとって再結成なんてあり得ない。

実は、もうひとつ重大な出来事がゼインを待ち受けている。モデルのジジ・ハディッドとのあいだに子供が生まれるのだ。1D時代を楽しめなかったことを公にしてきたゼインだが、父親になるとなれば、1Dの再結成に参加する可能性は事実上ゼロだ。

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当然ながら、先のことはわからないし、イン・シンクのようにどのグループにとっても解散は避けられないものだ。だが、デビューから27年以上精力的に活動を続けているバックストリート・ボーイズのようなグループがいるのも事実だ。それに1Dから何かひとつのことを学んだとすれば、それは誰もグループから除外してはいけないということ。1Dとしての最後のパフォーマンスで4人が歌ったように、彼らにはともに歩む「まったく新しい歴史」が待っている。彼らはかならずもっと遠くまでいけるだろう。

1Dファンは、気を配りながらも楽観的な見解を持ち続けている。「私のなかのティーンエイジャーの私が再結成を熱望する一方、彼らが個々で活躍するのはうれしいことです」とダンハムさんは言う。「彼らのサウンドは1D時代とはまったくの別物ですから、再結成と同じくらい彼らのソロアルバムをサポートするのが大切です」。ダンハムさんはさらに次のように言い添えた。「ファンが再結成を推すのであれば、同じようにソロアルバムも推すべきだと思います。そうずれば、ウィン・ウィンになる——1D時代を振り返りながらも、ソロアーティストとしてのそれぞれのキャリアを支援できるのですから」。

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Translated by Shoko Natori

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