フランク・オーシャンも認めた映画『WAVES/ウェイブス』、監督が語る創作秘話

『WAVES/ウェイブス』(©2019 A24 Distribution, LLC. All rights reserved.)



フランク・オーシャンの楽曲使用の説得には何カ月もかかった

─音楽の使い方で、特に思い入れのあるシーンは?

ロードトリップのシーンでは「Seigfried」(『Blonde』収録)を起用しているのだけど、恋人と旅に出た主人公が自由を肌身で感じている様子と見事にシンクロしています。納得がいくまで何度も編集していたら、最後は僕自身も泣き崩れてしまいました。

【画像】撮影中のトレイ・エドワード・シュルツ監督(写真)

フランク・オーシャンはこれまでに5曲も使用を許可したことがなく、彼を説得するのに何カ月もかかりました。最初の段階では彼のチームから「彼は今、創作活動に没頭しているから交渉は難しい」と言われ、のちに「1曲に減らせないか?」と言われた時にはパニックに陥りましたね。でも、フランク本人に手紙とラフカットを送ったら、時間を割いて見てくれて、全曲使用していいと言ってくれたんです。しかも減額で。彼とレディオヘッドの曲を使えたことは本当に夢のようで、いくら感謝しても足りないくらいです。


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─カニエ・ウェストへの想いも並々ならぬものがあるとか。

彼はとてつもない魅力があると思います。天才だし、どの作品も大好きですね。彼の精神はこの作品にあらゆる形で映し出されています。例えばタイラーのシーンで「I Am God」を用いたのは、まさに彼の気持ちを表していると思ったから。自分を「神」のような存在だと思っているし、その思いが周囲にまで浸透した状態になっています。また、タイラーの部屋にカニエのアルバム『The Life of Pablo』(2016年)のポスターを貼ったのは、このアルバム自体が自分と闘っている男を表しているから。おそらく『The Life of Pablo』のリリースは、タイラーや友人たちにとってビッグな出来事だったはずだと想像したわけです。

僕には、カニエの映画を作るという夢があります。彼は本当に研究のしがいがある人物ですし、その脳みその中を覗かせてもらって、これまでになかったような伝記映画を一緒に作りたい。『WAVES/ウェイブス』を観たらきっと気に入ってくれると思いますし、カニエとリラックスして最高の作品を作れたらうれしいですね。

─『WAVES/ウェイブス』は監督にとってパーソナルな内容ということですが、今の若者たちのライフスタイルもリアルに描いています。リサーチはどのように行ったのでしょうか。

基本的には僕の高校時代、僕の恋人の高校時代、ケルヴィン・ハリソン・Jrの高校時代の経験を参考にしています。エピソードはもちろん、周囲からのプレッシャーや悩みなど10代特有の感情もそう。また、今の10代を理解するために、SNSやウェブサイトなどを徹底的に調べました。実際に若者と会って話し、脚本を読んでもらって、率直なフィードバックを基に修正を加えています。今の10代も、僕たちの頃とさほど変わらないことが分かりましたね。違うのはInstagramなど、使うツールだけです。

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