米ポルノ業界、人種差別の赤裸々な実態

ポルノ女優のアナ・フォックス(Photo by Dai Sugano/Bay Area News Group)



作品のタイトルに飛び交う侮蔑的な用語

人種の固定概念による宣伝ほどあからさまではないにしても、Blackedのような動画サイトは黒人男性の時代錯誤な固定概念を別の形で悪用し、業界に不平等をはびこらせている。このサイトは表向きは黒人俳優の活躍の場を謳っているが、今回取材した俳優たちはみな、Blackedは黒人女優をまったくといっていいほど起用していないと言った。実際、サイトがお勧めするポルノ女優上位50人のうち、黒人女優はたった2人だけ。また一部の作品のタイトルには、BBC(Big Black Cock)といった侮蔑的な用語が使われている。業界最大手の動画サイトPornhubでも、Nワードがタイトルに盛り込まれた作品が数百に上る。こうした膨大な量のコンテンツに対抗して、一部の出演者は黒人俳優が出演した幅広いジャンルの作品をアップロードしてカテゴリーを乗っ取り、Pornhubのアルゴリズムを書き換えようとしている。

往々にして作品のタイトルを決めるのは制作会社のマーケティングチームで、出演者や監督ではない。そのため多くの出演者が、作品の売り込み方について意見することはできない。フォックスは以前ジュールス・ジョーダン監督の作品に出演したが、後日インターネットでは『Black Facials Matter(黒人も顔出しが大事)』というタイトルのコンピレーションの一部に組み込まれていた。「最初は訳が分かりませんでした」と彼女は言った。「その後、すごく頭に来ました」。彼女はジョーダン監督に連絡してタイトルを変更するよう頼んだが、返事はなかったという。

数年後、彼女は業界のイベントで制作会社の社員とばったり出くわし、事情を説明してやっとタイトルを変更してもらった(もっとも、数々の動画サイトではいまだに元のタイトルのままだ)。これに対してジョーダン監督は、フォックスがタイトル変更を依頼して連絡したことには気づかなかったと言い、あのタイトルはコピーライターがつけたのだと言った。「あいにくうちのサイトは相当数のコンテンツを扱っているので、僕個人がサイトを100%チェックするのは無理です」と言って、「この問題に気づかされたあと、僕もすぐに変化が必要だと感じました」と付け加えた。

すべての黒人出演者が、作品のタイトルやキーワードに使われる用語を問題視しているわけではない。結局は制作会社がポルノ宣伝のために採用した、荒削りで短絡的なマーケティング戦略の例にすぎない、と考えている。「いつの世も、ポルノはアメリカ社会の価値観を反映しています。そういう作品が存在するなら、そういう作品を買う人がいると言うことです」とマックスウェル。「例えば、『黒いペニスの恐怖 パート6』(実際にマックスウェルが出演した作品)という作品があるなら、過去5作品は確実に売れたということなんですよ」

彼は、社会変革を起こすのにポルノは適切な場所ではないと考えている。「ポルノはあまりにも淀んだ世界なので、社会活動には向きません。真剣に取り合ってもらうのは難しいです」と彼は言う。「僕は両者を区別するようにしています」.だが、どんなにひいき目に見ても、業界の慣習は問題だらけだいうことは認めている。「ポルノは人種差別を正当化できる唯一の業界です。自分の信念を正当化するために、望まない相手とセックスしろと強要し、『この業界では黒人とファックしなきゃいけないんだ』と言うなんて、あり得ないでしょう」

【画像】女性メンバーを「性奴隷」に、自己啓発団体「ネクセウム」裁判の登場人物たち(写真6点)

Translated by Akiko Kato

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