米ポルノ業界、人種差別の赤裸々な実態

ポルノ女優のアナ・フォックス(Photo by Dai Sugano/Bay Area News Group)



「『君は黒人だから、この映画には出られない』なんて平気で言える業界は他にない」

ポルノで人種が紋切型に描写されていることや、黒人俳優が軽んじられていることは、業界内でも長年議論の的だった。「アメリカの産業の中でも、ポルノはもっとも後進的です」とスートラも言う。「『君は黒人だから、この映画には出られない』なんて平気で言える業界は他にないでしょう」。それでも業界の多くの人々は、ブラック・ライヴズ・マター(Black Lives Matter)を皮切りに対話が生まれたことで、大手制作会社が問題の慣習を変えるまたとないチャンスが生まれたと考えている。警官の暴行の被害者となった故ジョージ・フロイドさんがポルノ業界とつながっていた、という記事をアダルト系出版社AVNが掲載した際にもこうした議論が白熱し、大規模な反発が起きた。そのためAVNはあわてて記事を削除し、謝罪文を掲載した。

ソーシャルメディアで出演者たちが訴える問題の中には、俗にいうIRもので白人女優の報酬が上がるという時代錯誤の慣例もある。IRとはInterracial、つまり異人種間のカラミのことだが、往々にして黒人男優と白人女優とのカラミを指す。トップクラスの白人女優が初めてIRものに出演する際、制作会社は通常よりもはるかに高いギャラを提示する。多くの名の知れた女優が黒人男優との共演に固執するのも、こうした理由からだ。「IRというのはあくまでも表向きで、本当に言わんとすることは別です」と言うのは、俳優のイザイア・マックスウェル。「アジア系やラテン系でもなく、『黒人男性とヤりたいでしょ?』という意味なんです」

しかし、こうした慣習は黒人男優や黒人女優には適用されない。そのため人種間に深い経済格差が生まれ、こうした高額のギャラをピンはねしている俳優事務所がそれを定着化した。マックスウェルがよその制作会社から聞いた話では、大手事務所の中にはトップ女優に黒人と絡む仕事をどのぐらいの頻度で割り当てるか、という基準を定めているところもあるそうだ。「エージェンシーは常に面倒な存在です」とマックスウェル。「彼らのせいで、業界に入ってきた特定の女の子は、自分たちは特定の肌の色の人々よりも格上だ、と思い込むようになるんです」

黒人俳優、とりわけ黒人女優には出演機会が少ないがゆえ、侮蔑的な人種表現をウリにするようなコンテンツを定期的に撮影する、ひと握りの制作会社としか仕事ができない者も大勢出てくる。例えば男優のリッキー・ジョンソンの場合、Dogfartという制作会社の下で数々の作品に出演してきた。この会社はIRものを専門とし、「黒人の描き方が野蛮なんですよ」とジョンソンは言う。「でも困ったことに、あの会社は黒人俳優を(定期的に)撮影で起用する、数少ない場所のひとつなんです」。フォックスも駆け出しのころ、南部軍の旗が描かれたTシャツを着て白人男性にオーラルセックスするよう指示されたという。

【画像】殺されたセックス・セラピスト、ハリウッドの光と影に翻弄された人生(写真4点)

Translated by Akiko Kato

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