PassCode今田夢菜が語る、貪欲に上を目指す「絶叫」スタイル

シャウトの練習はしない

―ちゆなさんって、ライブのパフォーマンスについてスタッフと細かく話し合うことってあるんですか。

自分の状態的にやっとそういうことを話せるようになったって感じです。たぶん、言ってくれる側の人たちに対して、言いたいのに言っちゃいけないんじゃないかって気を使わせてたのかもしれない。今はちょっとずつ言ってもらえるようになってきたから、言われたところは「じゃあ、どうしたらよくなるんだろう」っていうふうに考えられるようになりました。

―具体的にはどんなアドバイスがあったんですか。

歌とシャウトですね。自分ではよくわからないんですけど、声量がないのか、マイクにあんま乗らへん声質だからか、レコーディングのときに求められてる歌はそれでもいいかもしれへんけど、ライブでその歌い方だとマイクに声が乗らへんから、もっと野太い感じで歌ってもいいんじゃないかって言ってもらいました。でも、そういう声の出し方がまだわからんくて、自分は「これはこう」って思ったらそういう歌い方しかできないタイプだから、そこが難しいです。

―ちゆなさんの場合、技術というよりも、本能のままに叫ぶっていうスタイルですよね。そのせいでその場その場で微妙な違いが生まれるんだけど、なんでそういう変化が起こるのか自分では把握できてない。

そうなんです。「もっとガツンと歌ってもいいよ」って言われて、おうちでやってみたりもするけどしっくりこんというか。自分はお腹から出してるつもりだったから、「どうしたらええんやろ?」ってさまよってます。

―でも、相変わらずシャウトの練習はしないんですよね?

しないんです……なんか自宅だと難しくて(笑)

―シャウトの練習ってやりづらいものなんですか。

新曲はレコーディングの場所で初めて叫ぶので、そこで叫んでみて、「ああ、ちゃんと叫べるんや」って認識してます。

―そうか、平地さん(PassCodeのサウンドプロデューサー)からデモをもらってもシャウトのパートは練習しないで、レコーディングで初めてやるんですね。

うん、リズムと歌詞だけ覚えといて、スタジオで初めて叫ぶ感じです。

―すごい。そのやり方でレコーディングして、何回ぐらいでOKが出るものなんですか。

えー、それはその日によるし、自分でやり直したいって言うときもあります。シャウトにしにくい歌詞は苦戦するし、最近はリズムが難しい曲が多いので、そういう曲も苦戦しますね。そういうときは平地さんから教えてもらいながら録ります。

―たしかに、最近のPassCodeはリズムが特徴的な曲が増えてきましたよね。

うん、変わったリズムに急になったりするのが難しくて、たまに混乱してます。

―やりやすいシャウトってどういうものなんですか。

ひとつの単語をわーっと叫ぶのが一番やりやすいけど、フレーズになると“息が続くか続かないか”問題が出てきて、途中で普通の声に戻っちゃったりすることがあります。

―そうか、息が続くか続かないかも現場でフルパワーで声を出さないとわからないのか。

そうですね。でも、「これは続かんやろ」っていうのはだいたいわかるし、レコーディングでは区切って録ることが多いです。でも、ライブでできてるってことはレコーディングでもできるんだと思います。

―さっき、自分で納得いかないときに録り直すって話してましたけど。

そういうことはけっこうあります。録ったのを聴いてみて、もっと低い声のほうがよさそうとか、高いほうが合いそうとか、声に全然勢いとかエグさが足りひんとか、そんな感じです。平地さんもけっこう言ってくれるけど、「これで本当に大丈夫かなあ?」って思うことが多いです。今回だとカップリング曲(「Seize Approaching BRAND NEW ERA」)がそうなりました。めっちゃ難しかったからけっこう不安になりました。



―特にどの部分が?

最初、平地さんから「今回、けっこう難しいで」って言われてからデモを聴いて、「シャウトは多いけど、そんなに難しいパートはなさそう」と思ってたけど、いざレコーディングしてみたら息は全然続かんし、どのパートも難しいって思いました。思ってたのとリズムが違ってたり。

―この曲ってリズムが肝ですよね。

うん。でも、もう大丈夫。

―ここからライブ用のシャウトに仕上げていくことになると思うんですけど、リハを重ねることで自分のものにしていくんですか。

いつもはレコーディングやって、振り入れて、今回はないけどいつもだったらリリイベがあるから、そのためのリハで「え、めっちゃムズい~」ってなって、そこからライブを重ねていくって感じです。

―アルバムの曲だとリリイベでもやらなかったりするわけですよね。

あー、たしかに。そういう曲はライブのリハで「むずかし~」ってなって、本番で重ねていくって感じです。

―けっこうスリリングですね。

そうですね(笑)。本番でもリズムがズレてたりする場合はバンドメンバーが教えてくれたりします。音を流して口ずさむ分にはズレてないからちゃんとわかってるつもりなのに、実際のライブだとバンドの音とズレてたりするんですよね。

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