楽器・作曲ソフトの売り上げ急増、コロナ隔離生活は新たなルネッサンスをもたらすか?

隔離生活によってギターを始めることにした青年(Photo by Matthew J. Lee/Globe staff)


今こそコラボを、そして実験を

実際に会うことはできなくとも、人々は共同作業の手段を模索し続けている。ソーシャルディスタンスという概念は、むしろミュージシャンたちのコラボレーションを促すかもしれない。

最近では、ある曲の各パートを個別に演奏するミュージシャンたちのビデオクリップで構成されるコラージュ映像をよく見かけるようになった。その一例である、アレンジャーのDavid WiseとミックスエンジニアのGarth Justiceが公開した「Nashville Studio Singer Community Virtual Cell Phone Choir」は、これまでに100万回以上視聴されている。ナッシュビルで活動するプロのヴォーカリスト31人は、それぞれのパフォーマンスをiPhoneで撮影し、その映像をWiseとJusticeに送った。機材はすべてSweetwaterで購入しているというJusticeは、ルームノイズを最低限に抑えるためのiZotope RX Suite、そして特定の周波数を際立たせるOeksoundのSootheという2つのプラグインを活用したという。アップリフティングで元気付けてくれるその映像は、多くの人々の共感を呼んだ。



最近イギリスで、ある学校の生徒たちとApple Distinguished Educatorの講師たちが作った映像が公開された。Appleは同映像について、イギリスの国民保険サービスを応援する目的で制作されたと説明している。スノウ・パトロールの「ラン」のカバーであるその映像の制作にはGarageband、Logic Pro、Final Cut Pro、Keynote、そしてiPhoneが使用されている。リードシンガーはUSBマイクを使い、GarageBandで録音したという。

一方、ありきたりの作業に飽きてしまったミュージシャンたちは、より実験的な方向に進もうとしているようだ。楽器やソフトの販売店では、一般的ではない製品が以前よりも売れているという。

「最近ではマイクに改造したおもちゃの電話が売れました」Reverbの広報はそう話している。「フォーンのアウトプットがあり、ゲイン回路によってローファイなサウンドが得られます。ストロークスのヴォーカルをイメージするといいかもしれません。エレクトロニクスに詳しい人がおもちゃを楽器に改造するケースは珍しくありませんが、ミュージシャンがおもちゃの電話を使って、ビデオ会議を介したコラボレーションを試みるというのはユニークですよね」



「隔離生活が続く中で、いろんなジャンルのアーティストたちが様々な実験を試みる映像をYoutubeで見ることは、私たちの楽しみになっています」Guitar Centerの広報はそう話す。「今の状況下で、音楽制作に興味を示す人が増えていることは間違いありません。彼らは冒険心に満ちていて、実験の成果をYoutubeやInstagram、TikTok等でシェアしているんです」

世界中の経済活動を停滞させている現在の状況が、楽器やソフトの販売店にとって好機となっていることは確かだ。それは隔離生活に喜びをもたらすだけでなく、事態収束後のシーンの大きな活力となる可能性を秘めている。



Translated by Masaaki Yoshida

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