THE ORAL CIGARETTESが語るバンド哲学「ロックスターの源流を学び、2020年に昇華させた」

THE ORAL CIGARETTES(Photo by Hirohisa Nakano)

THE ORAL CIGARETTESが5作目となるアルバム『SUCK MY WORLD』をリリースする。R&Bやゴスペルからの影響を強く感じる内容だが、それは今作の特徴を示すほんのいち要素に過ぎない。聴けば聴くほど緻密に練られた音の重なりに唸らされることだろう。

関西を拠点に活動していたオーラルは、2012年に開催されたオーディション「MASH A&R」でグランプリを獲得したことをきっかけに注目を集め始めた。「SWEET LOVE SHOWER 2013」で彼らのライブを初めて観たとき、とんでもない勢いで暴れ倒している4人の姿が強烈だったことを今でも覚えている。その後、オーラルは作品を重ねるごとにあらゆる音楽を吸収し、独自のサウンドを死にものぐるいで追求していき、その結果、彼らの努力と才能はこの傑作で大きく花開いたのだ。



理屈では説明しきれない今作の世界観は何度聴いても把握しきれず、今回のインタビューではなぜこんな作品が生まれたのか、4人に疑問をストレートにぶつけた。楽曲解説的な要素は一切ないが、『SUCK MY WORLD』で鳴っているひとつひとつの音に込められた思いや、それを鳴らすに至った経緯がつまびらかにされている。そして、最後に語られる彼らの決意に、多くのジャパニーズロックファンが胸を熱くすることだろう。そうだった、俺たちは日本のバンドからこんな言葉を聞きたかったんだ。

―『SUCK MY WORLD』は突き抜けたアルバムになりましたね。個人的に今までで一番好きな作品です。

4人 おおっ!

山中拓也(Vo) めっちゃキテるやん! すごい流れがきてるぞ、このアルバム!

―この取材の前にも同じようなことを言われたんですか。

山中 皆さん、そう言ってくださって。

―そりゃそうでしょうね。今作をもって、ほかの何者でもないTHE ORAL CIGARETTESというバンドが、サウンド的にもアティテュード的にも100%完成したという印象です。ご自身としてもやりきった感はありますか。

山中 ありますね。1曲ごとにテーマやコンセプトがあって、作業量もすごく多かったですし、新しい楽器を取り入れたり、いろんな挑戦もあったので、自分ら的にはやりきったし、すごくいい物ができたという感覚はあります。

【写真】サウンド面で超進化を遂げたTHE ORAL CIGARATTES(撮りおろしソロカットあり)

―やっぱり挑戦だったんですね。


山中 挑戦でしたね。今までやってこなかったジャンルにも手を出したので、「頭のなかでは鳴ってるのに、これをどうしたらいいのかわかんないな」みたいなことが最初はすごく多かったです。

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