本当は無実かもしれない5人の凶悪殺人犯

5つの事件は当然有罪になると見られていた――が、真相は違うと支援者たちは言う(Photo by ZUMA)



検察側はルーティエを、子供のいない「華やかな」生活を懐かしむ軽薄な女に仕立て上げた

・ダーリー・ルーティエ


子供たちを殺害した罪で有罪判決を受けたダーリー・ルーティエは現在上訴中(Photo by Donna McWilliam/AP)

1996年6月6日未明、テキサス州ダラスでダーリー・ルーティエが緊急通報した。取り乱した声で、自宅に何者かが侵入して自分と2人の息子を刺した、と叫んでいた。数週間後、ルーティエは6歳のデヴォン君と5歳のデーモン君を殺害したとして起訴(最終的には有罪と)された。55人の女性死刑囚の1人である彼女は、今も無実を主張している。ルーティエの支援者によれば、警察当局が初めから彼女を犯人と決めつけ、捜査もずさんで、警察の仮説と矛盾する証拠を黙殺していたという。

警察はすぐに彼女を疑った。ルーティエは残忍な襲撃のことをほとんど覚えていなかったからだ。本人の話では、彼女は子供たちと一緒にリビングで映画を見ながらいつの間にか眠ってしまったという。その間、夫は2階で生まれたばかりの三男と眠っていた。ルーティエは、デーモン君に揺り起こされたことと、男の背中が暗い部屋を出ていき、キッチンを通ってガレージへ消えていくのを見たのは覚えていた。辺りが血だらけなのを見て、彼女はすぐに911に通報した。

ルーティエは首の大動脈付近を刺され、緊急手術が必要な状態だった。だが、検察側は自分で刺した傷だと主張した。病院で撮影された写真には、ルーティエの腕に防御傷とみられるあざが写っていた――陪審がこの写真を目にすることはなかった。

それに加えて、血の付いたルーティエと子供たちの衣類は、汚染されることもお構いなしに、同じ証拠袋に入れられた。検察側の証人トム・ベヴェル氏は、ルーティエの寝巻についていた血しぶきは息子たちを繰り返し刺したとみて「ほぼ間違いない」と証言したが、弁護側はこれに反論する法医学の専門家を証人に召喚しなかった。以来、ベヴェル氏の鑑定は説得力に欠け、誤解を生じさせるものとして非難を浴びている。この20年間以上、ベヴェル氏の鑑定で少なくとも3つの冤罪が起きている。

また支援者いわく、警察は現場写真を撮る前に家具や物を動かし、犯行現場をいじっていた。そして侵入者が押し入った形跡――切り裂かれていたガレージの網戸や、近くの路地に落ちていた血まみれの靴下――はルーティエが「でっちあげた」ものだと、早急に結論づけた。

これほど凶悪な犯罪を犯す明白な動機が見つからなかったため、検察側はルーティエを、子供のいない「華やかな」生活を懐かしむ、軽薄な女――実際彼女は「髪を脱色し」、豊胸手術をしていた――として描いた。最も忌まわしい証拠は、子供たちの墓で撮影されたTVのニュース映像だ。そこには笑いながら、パーティ用のスプレーを手にはしゃぐルーティエの姿が映っていた。

「子供を2人亡くしたばかりだというのに、彼女は文字通り、子供たちの墓の上で踊っているんです」と、検察官は陪審に語った。

実際のところ遺族と友人らは、生きていれば7歳になるはずだったデヴォン君の誕生日を祝っていたのだった。数時間前には厳かな法事が行われ、ルーティエは終始すすり泣いていた。映像にはその部分も収められていたが、陪審は「パーティ用スプレー」の部分しか見せられなかった。審理の間、陪審はこの映像を7回も見させられた。

裁判の後、陪審員の1人はこう認めている。「もし、その日の出来事をすべて残らず目にしていたら、私は有罪に票を投じなかったでしょう」

2002年には著名な法医人類学者の鑑定が行われ、ガラステーブルで見つかった血のついた指紋はルーティエ家のメンバーとも、捜査関係の誰とも一致しなかったと判断を下した。現在行われている上訴裁判では、追加で行われた最新DNA検査が審議されている。テキサス州は、有罪を認めれば仮釈放なしの終身刑に減軽すると提案したが、彼女は拒否した。

Translated by Akiko Kato

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