甘えでもわがままでも育て方のせいでもない 自閉スペクトラム症を理解する

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昨年9月に書籍『なぜアーティストは壊れやすいのか?』を出版した、音楽学校教師で産業カウンセラーの手島将彦。同書では、自身でもアーティスト活動・マネージメント経験のある彼が、ミュージシャンたちのエピソードをもとに、カウンセリングやメンタルヘルスに関する基本を語り、アーティストやスタッフが活動しやすい環境を作るためのヒントを記している。そんな手島が日本に限らず世界の音楽業界を中心にメンタルヘルスや世の中への捉え方を一考する連載「世界の方が狂っている 〜アーティストを通して考える社会とメンタルヘルス〜」。第8回は、2人のアーティストを通して、左利きの人と同じ数の割合だけ存在するという「アスペルガー症候群(現在では自閉スペクトラム症)」への理解を深める。

2002年発表のデビュー・アルバム『Highly Evolved』がいきなり全世界で200万枚近い大ヒットとなった、The Vines。そのフロントマンであるクレイグ・ニコルズはトラブル・メイカーとしても知られていましたが、その破天荒な彼の行動は、「ロックっぽい」という好意的な評価にも繋がっていました。しかし次第に、そのアーティスト活動においては見過ごせない問題に発展していってしまいます。

2004年の日本公演では観客に悪態をつき、英語のわかる観客と口論になってしまい、その影響で何度も演奏を中断してしまうという、散々なライブになってしまいました。そして、このツアーの直後には、シドニーのホテルで開催されたラジオ局のライブ・ショーで、クレイグはまたしても聴衆に向かって悪態をつき、女性カメラマンのカメラを破壊。更にはその記者に暴力を振るってしまい、とうとう警察に訴えられてしまうという事態にまで発展してしまいました。


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