この2例で出てきた「アスペルガー症候群」は、アメリカ精神医学会の診断基準が2013年に改訂されてから、現在では「自閉スペクトラム症」に統一されましたので、以後「自閉スペクトラム症」という言葉を使用します。
最近、「発達障害」という言葉とともに「自閉スペクトラム症」の認知度も徐々に高くなりつつあります。しかし、当事者や支援者たちがどんどん詳しくなっていくのに比べると、そうでない人たちにはまだ知られていなかったり、誤解されていたりするのが現状だと思います。
この2人のミュージシャンは「臨機応変な対人関係が苦手」「双方向の会話が不得手」という特性を生まれながら持っていました。それに対して「そういうのはみんな、多かれ少なかれよくあることだよ」と思われた方もいるかもしれません。それが発達障害にまつわる誤解の1つです。NHK発達障害プロジェクトに寄せられた当事者の方の投稿には、
発達障害の特性を説明しても「誰にでもあることだ」や「特性を理由に怠けている」「あちこち病気して忙しいね」等言われ辛い。(女性50代 当事者 )
みんなが当たり前にできることができない人がいて それは当人のせいでも 親の育て方のせいでもないことがなかなか認知されてないと思う。大なり小なり みんなそんな事あるよ と言われるとそんな簡単な問題じゃないと思って ギャップを感じる。(女性40代 当事者 )
などの声が多数寄せられています。障害となっている人にとってそれは「誰にでもあるレベルではない」のです。