17歳の美少女、ビアンカ・デヴィンズの短い生涯と拡散された死

2019年7月に殺害されたビアンカ・デヴィンズ(写真提供:デヴィンズ家)



/r9k/のアイドル

一日中家の中に籠もりきりになったビアンカは、さらにネットの世界へと引き篭もっていった。「いつも携帯で何かしていました」とジャンナ・マレーも言う。この時期、ビアンカと連絡を取っていた数少ない人間の1人だ。「友達を連れて遊びに行くと、どうコミュニケーションを取っていいかわからないみたいでした」。 Tumblrでは人種も、民族も、性別も様々な分身をいくつも作り出した。そうした分身は10代の少女がよくやる実験的な遊びとも、悪口や嫌がらせから自分を守る壁とも、また自分を売り込むツールとも見える。「彼女はいつも、話し相手やグループに合わせて、みんなが興味を持ちそうな架空の人物を作っていました」と言うのは、ビアンカの長年のネット友達ヤング・シム。「みんなから『ヘイ、すごく気の合うイケてる友達がいるんだ』と思ってもらえるようにね」

だが、そうした分身の中で最も注目を集めたのは、ビアンカ本人とそっくりな人物だった。愛らしく、はにかみ屋のオタク少女。若くて、キレイで、寂しくて寂しくてしょうがない女の子だった。

ビアンカ殺害のニュースが出た当初、メディアは彼女を「Instagramのセレブリティ」と呼んだが、これは総じて正しくない。ビアンカのフォロワーはたった2000人程度――大した数だが、大人気とは言えない。だが、彼女がそれなりに知名度を誇っていたコミュニティがひとつだけあった。匿名画像掲示板4chanだ。

現在4chanと言うと、極右至上主義者の温床として広く知られている。だがこうした考えが生まれた原因は、白人ナショナリストの勧誘の場として有名な掲示板/pol/によるところが大きい、とジョシュア・シタレラ氏は言う。オンラインコミュニティとZ世代カルチャーを専門とする研究者だ。4chanユーザー全員が極右思想を支持しているわけではないが、ビアンカも常連だった/r9k/など、その他多くの掲示板でも極右思想が話題を独占する傾向が見られる。「4chan上の極右的なプロパガンダが/pol/で蔓延していた人種差別や女性蔑視と共に/r9k/に流れてきた、といった感じです」と、シタレラ氏は言う。


ビアンカのInstagramに投稿されたコラージュ

一見すると、/r9k/はオリジナルコンテンツの投稿フォーラムに見える。だが実際は、「孤独な連中がたむろして、自分が病んでいる理由や状況を語りあう場」とシムは言う。2人は2016年にDiscordで知り合った。/r9k/のユーザーは圧倒的に男性が占めているので、女性ユーザーにはすぐに大勢のフォロワーが集まる。こうした女性ユーザーには共通して見られる特徴がある。痩せていて、つぶらな瞳をして、大多数が白人。コスプレかつ/または日本や韓国系ファッションを好んでいる(この手の女性は“eガール”と呼ばれることもある。エモやアニメっぽさを表す言葉だが、最近では性的蔑称として使われることが多い)。

Translated by Akiko Kato

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE